「自己成長・マインド編」「人間関係・コミュニケーション編」「アイドル・プロデュース編」の3章構成で、「ジュニア」と呼ばれる若手時代の自身のエピソードから、現役アイドルとして乗り越えてきた様々なトラブル、そして「ジュニア」を育てるプロデューサーとして大事にしていることなど、複数の視点で大倉さんの思考を示しながら「組織を強くする45のルール」を提言しています。
アイドルと経営者の二刀流、その視野の広さが大倉さんの武器
これまで僕はカメラの向こう側をそこまで意識できていなかった。要するに180度しかなかった僕の視野がそのカメラの奥まで広がり360度になった感覚。
実は大倉さんのこの「視野」について、個人的な思い出があります。まだ彼が経営者になる何年も前。私は関ジャニ∞の東京ドーム公演が当たり、ライブを観る機会に恵まれたのですが、趣味として書いたライブレポートを共通の知人を通して、大倉さんに読んでもらったことがあります。その際、間接的に教えてもらった感想が「男性目線だとこういうふうに見えてるんですね」というもの。そんな角度でレポを読んでくれたのか、という驚きを感じたことを覚えています。自分たちを俯瞰で観たり客観視したりするような深い視野というのは、以前から大倉さんが持ち合わせていたものなのかもしれません。
プロジェクト担当者必見! 大倉さんのプロデュース論
たとえば、プロジェクションマッピングやAIなど最新テクノロジーに触れた項では、嵐の松本潤さんに指摘されたというエピソードを紹介しながら、最新テクノロジーを使いたいのか、それともテクノロジーを使ってアイドルとファンを繋ぐ演出をしたいのかという、目的と手段を明確にする思考方法を展開。大倉さんがプロデュースするなにわ男子が、2026年1月に開催した東京ドーム公演では、メンバーが幼少期から今のビジュに変化する映像演出を駆使しており、客席からはまさに絶叫と呼ぶにふさわしい大歓声が発生。ファンのニーズとテクノロジーを融合させた見事な演出でした。
また、「アイディアは我儘であればあるほどいい」という項では、なにわ男子のデビューイベントで羽田空港の滑走路を使うという案を出した話と絡めて、こんな考え方を提示。
たとえそれが実現が難しいと自分でもわかっているような突拍子のない案でも、可能かどうかは気にせず、まずはスタッフや仲間に伝えるようにしている。
最初に思いっきり我儘を言うことが、企画のエネルギーになると僕はとても強く感じたのだ。
自ら可能性を狭めることなく、まずはイメージしていることをぶつけてみる。実現可能かどうか、あるいはいいアイディアかどうかの確認は、そのあとの話。クリエイティブ以外の分野にも共通する、とても大事なプロセスだと思います。
現役アイドルとして対峙した“あの騒動”を語る
決して回顧録ではなく、今現役でアイドル道を進む大倉さんの口から語られる、ドキュメンタリーともいえる記述は、必読です。
この他にも、プロデューサーとして関わった、なにわ男子のメンバー選出にまつわるエピソードやデビュー曲決定秘話、さらにはジュニアとのやり取りを例に解説する「LINEの活用法」や、メンバーと会社、それぞれの関係値のなかで模索する「情とビジネスのバランス」など、現役アイドルであり、アイドルを育てる立場でもある大倉さんだからこその提言がたくさん詰まった本書。
それは決してアイドル現場だけの話ではなく、私たち働く大人も共感し、参考になるヒントがたくさん散りばめられており、さらに付け加えるなら、大倉さんという存在の解像度がグッと深まる、学びの書でもあるのです。








