8歳の年に終戦を迎えた養老先生は、これまで戦後の日本社会について考えないようにしてきたという。
「最初に歪みを感じたのは終戦の日です。騙されたというよりも、ただ本当に膝の力が抜けるという感じ。その経験があるから、政治的社会的なことは一切信用しないほうが無事だなという態度になったのだと思います。でも、自分が生きている社会と距離を置こうと思うのは、本当は相当変ですよね。
だから、あの戦争について考えたくはないけど、整理したいという気持ちは持ち続けていました」
批評家の東浩紀さん、脳科学者の茂木健一郎さんと「戦後日本社会の歪み」を主題に語り合うという本書の企画は、ここから立ち上がりました。
テーマは、敗戦、憲法、天皇から、経済停滞、少子化、巨大地震まで。
日本社会に居心地の悪さを感じてきた3人による鼎談は、意外な展開を見せ、予想もしない結論に!
──学芸第一出版部 H.N
レビュアー
学芸第一出版部