上野動物園にランランとカンカンが到着! 東京に行ったこともない小学生だった私も、そのニュースにはワクワクしました。あれから50年……日本も中国も変わりましたが、パンダへの私の愛は変わりません。でも、こんなにパンダが好きなのは、日本だけではないのです。欧米もソ連もみんなが夢中。そこに中国の外交が生まれました。日中戦争下には蔣介石の妻・宋美齢がアメリカ懐柔のためにパンダを贈呈。冷戦下にはモスクワや北朝鮮に、そして現在の一帯一路構想ではインドネシアやマレーシアにも。では、微妙な関係の台湾にパンダはいるのでしょうか? 答えは本書をお読みください。
ロンドン動物園でパンダと対面した昭和天皇の満面の笑顔、上海雑技団で外貨を稼いだウェイウェイ、北京五輪「ビン・ドゥンドゥン」のメッセージなど、政治外交史を縦糸にしつつ、150年前に世界に「発見」されたパンダと人間の歴史をたどります。
──学術図書編集チーム 梶慎一郎
レビュアー
学術図書編集チーム