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2022.10.18

レビュー

作る楽しさ、飾るうれしさ! かわいいおりがみ壁飾りがあっという間に完成!

かつて働いていた書店の児童書売り場で、担当者が手がけた季節の飾りつけを見るたび、「一度は作ってみたい」と感じていた。とはいえ、手先の不器用な私にはハードルが高く、退職した今となっては日常的に作る機会もない。そもそも何から手を付けたらいいのかもわからず、憧れは憧れのままだった。

そんな私の前に登場した本書は、表紙からして愛らしい。季節ごとに掲載されているさまざまなモチーフは、かつて私が「作ってみたい」と感じたものにも近かった。おりがみ作家である著者は、これまでに多くの著書を出版し、オンラインセミナーやYoutubeでも活躍しているという。幅広い年齢層のファンに支持されている著者の作品なら、初心者の私にも作れるかもしれない。ドキドキしながら挑戦することにした。

まずは目次から読んでいく。100点以上にのぼるモチーフは、すべて新作だというから驚いた。「サイズについて」の説明では、おりがみを小さく切って使う際の基準が、サイズごとに記載されている。本書では、15cm四方で裏が白い「片面おりがみ」が基本とされている。だが1/2や1/4サイズはともかく、1/36や1/72といったサイズのおりがみは、はたして何に使うのか。首をひねりながら読み進め、道具の使い方も確認する。

次のページでは季節ごとの壁飾りが、「ひなまつり」「お花屋さん」といった記念日やテーマ別に、写真で紹介されていた。どれも華やかでかわいらしい。さまざまなフレームに収められたキャラクターは、動植物だけでなく食べ物や郵便ポスト、イースターエッグやアマビエまでと幅広い。ウキウキしながらページをめくる中、目を惹かれたのは「読書の秋」の壁飾りだった。

本に携わる仕事をしていた身としては、これ一択!とばかり、作ることを決めた。著者いわく、おりがみは「柄も使おう!」とあったため、通常のおりがみと柄のおりがみ、小道具のシールを買い出して、いざ作り始める。

まずは土台となる「フレーム」を作っていく。AとB、2パターンのピースを作り、それを折り紙の周囲に挟みこむ。「これは楽勝」と思いきや、Bを付けた時点で見本の通りになっていないことに気がついた。説明を読み直すと、私が折ったものは見本の大きさの半分しかなく、折り過ぎていたことが判明。本書は折り目も折り方も丁寧に書かれているし、形もそれほど難しくない。にもかかわらず、最初から折り間違えるというのもすごい才能……と、自分に呆れながら折り直して完成させる。





次はメインキャラクターのクマを折る。顔は「ねこ」のつくり方からの応用で、体とうでは「うさぎ」のつくり方の流用だった。顔や耳の形が複雑なので、さぞ織り込むのだろうと思ったら、顔は6段階、体は5段階、うでに至ってはたったの3段階でできてしまう。予想以上の手軽さにほくほくしながら、目や鼻をシールで作っていく。見本通りの色や形がなかった部分は、マジックで書き込んでから切り出した。見本よりサイズは大きく、顔もユニークな表情になったが、これはこれで味があると自分を納得させて先へ進む。





次は、周囲を飾るモチーフを作っていく。メッセージリボンや秋を感じさせる葉、きのこ、いちょう。折る前はどれも凝った形に見えていたが、実際に折ってみれば5つ以下の工程で済んでしまった。こんなにかわいくて映えるのに、この手軽さはすごすぎる……! 副題の「あっという間に完成!」は伊達ではない。そしてきのこの「じく」を作る際には、折りがみサイズ「1/36」にも初遭遇。きのこの「かさ」に対して、このサイズのおりがみが必要になるのは、納得のバランスだった。



ちなみにモチーフの一つである本は、作成後「シールなどで表紙を飾りましょう」とあったものの、手元にシールがなかったため、家にあるもので代用。レターセットのシールや封筒を切り出し、活用した。そうしてすべての材料が揃ったところで、いざ組み立てに! ……と思ったところで、くまのチークとメッセージリボンを忘れていたことに気がつき、慌てて追加する。

いろいろなミスはあったものの、無事完成。見本の位置や色味とは異なるものの、それなりに見栄えもするし、できあがりの満足度も高い。所用時間は約4時間。私は不器用なのでそれだけの時間が必要だったが、慣れてくればもう少し早くできるだろう。店頭はもとより、教育の現場や医療施設などで日常的に作られる方であれば、きっとさらに早くできるはず。季節の飾り作りに悩んだ時には、ぜひ読んで作ってみてほしい。

レビュアー

田中香織 イメージ
田中香織

元書店員。在職中より、マンガ大賞の設立・運営を行ってきた。現在は女性漫画家(クリエイター)のマネジメント会社である、(株)スピカワークスの広報として働いている。

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