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2021.12.23

レビュー

生きもの図鑑の決定版! NHKのスペシャル映像DVDやスマホで楽しめるクイズも。

「ねえ見て!」と「なんで?」がいっぱい!

おとなになってもうだいぶ経ちますが、『講談社の動く図鑑 MOVE 生きもののふしぎ 新訂版』がとっても楽しい。まず生きものたちの写真がいいんですよね。4歳の甥っ子に「ねえ見て!」って言いたくなる。



たとえば「威嚇せよ」の章に登場するミナミコアリクイ。見てくださいよこの威圧感。やるときゃやるぞ感が伝わってくる。かわいいなーと少し思っちゃうけれど、もしも実際に対面したら私は怯みそう。ここで「ふだんのミナミコアリクイ」がそっと紹介されているのもいい。ミナミコアリクイ、オンとオフがはっきりしてますね。

そしてこの図鑑はそれぞれの写真に添えられたQ&Aがものすごくいいんです。本当に「なんで?」って思うことがいっぱい載っています。図鑑をめくりながら「なんで、なんで」と言い続けて、その疑問がわかりやすく解きほぐされるから気持ちいい。

だって、先程ご紹介したミナミコアリクイの立ち姿に「すごーい」と感動したあとは「でも、なんでこんなにスッと立ち上がるんだろ? 何と戦っているの?」となりませんか。私はなります。ミナミコアリクイはすっくと立ち上がり、天敵のジャガーに向かって「私と戦うと苦労するぞ!(だからあっちに行け!)」と伝えるんですね。ミナミコアリクイの横で同じく威嚇しまくっているチュウベイフトオビアノールも強烈。

Q&Aを一つ一つ読んでいくと、威嚇している彼らがどんな危機にさらされがちで、どんなときに威嚇という手段にでるのか、とてもよくわかります。そして「ねえ聞いて!」って話したくなるんです。ミナミコアリクイの天敵がジャガーなのは誰かに今すぐ話したい。

他にも「ライオンとトラはどっちが強いの?」や「ダイオウイカは、どうしてこんなに大きくなったの?」といった、ふと気になってそのまま仕事の手が止まるような、絶妙に気になる生きもののふしぎとQ&Aがいっぱい待っています。この図鑑の監修者である理学博士・上田恵介先生の着眼点がどれも楽しい。

「生きもののふしぎ」がテーマですから、深海のオアシスで暮らす生きものだって登場します。



私のお気に入りのカイレイツノナシオハラエビもいました。少し前にブルーバックス(『インド洋 日本の気候を支配する謎の大海』)で出合って2021年一番「おもしろい!」と感動した生きものなんですよ。うれしいな。

ということで、この図鑑で出合う生きものたちは、本当にふしぎ。おとなのみなさんもぜひ本気で読んでほしいです。

チーターって実際どのくらい速い?

この「走る!」の章もとてもいい。みんな存分に走っています。



「動物の中で誰が一番速いんだ?」って、小学生の頃に教室で話し合いませんでしたか。

チーターの最高速度は、飼育された個体を運動場で走らせて計測したり、映像から計算によって推定するなど、さまざまな方法で調べられてきました。その結果、時速69.8kmから140kmまでずいぶん差がありました。

チーターを運動場で走らせた人が実際にいる! 図鑑のイラストでも運動場のトラックをチーターが爆走しているけれど、まったくのフィクションってわけでもないんですね。

最近ではGPSを組み込んだ機械を体に取り付けての計測もおこなわれていて、アフリカの野生のチーターの記録では、最高時速は約93km、加速は人類最速のウサイン・ボルト選手の4倍にもなることがわかっています。また、狩りのときには最高時速よりも、もっとおそいスピードで走っていることがわかりました。

狩りのときは最高速度じゃないんだ!? そして「チーターって速いけど、実際どのくらい速いんだろう」とGPSを駆使して本気で調べた人がいるのが素敵。

動画でより忘れられない生きものになる

MOVEシリーズの特徴は動画DVDがついているところ。先程紹介した「走る」の章と連動した動画ではダチョウがユサユサと駆け抜ける姿がよかったですし、「ウニが走る?」の動画も感動しました。(ちゃんと走ってましたよ!)

あと、この生きものたちがかけっこをしているページにはエントリーしていないけれど、走るカバの姿がすごくよかった。動物園でのんびりプールに浸かっている姿とは別人でした。

威嚇するズキンアザラシの動画もぜひ観てもらいたいです。動画のよさが発揮されています。まずズキンアザラシの姿はというと……。



右上にいます。異様に大きな赤いなにかが顔にくっついていますね。この静止画だけだと「なにがどうなってそんな姿に?」と気になってしょうがない。この赤い物体は鼻の一部。で、ぷくーっと大きく膨らむ瞬間を丁寧に解説してくれている動画でその仕組がわかるんです。ズキンアザラシのこと、私はたぶん一生忘れない。

生きものの写真がダイナミックで、彼らのいろんなポースが楽しめます。そしてレイアウトがのびのびと自由なのに、サイズや生息地域、何を食べているのかといった図鑑らしい基本情報もきちんと収められているのでこれも楽しい。なんど開いても見飽きないです。

生きもののふしぎ 新訂版

編 : 講談社
監 : 上田 恵介

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レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています

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