「胸を張ってコンサバ!」
この1年半のあいだ、鏡の前で丁寧にメイクする時間が激減しました。マスクをするし、そもそも出かけないし……でも、ふとコスメの棚を開けると、未開封のチークがじっと出番を待っています。これを処分する気はさらさらなかったし、なんなら新色のコスメが出るたびに少しずつ買っていました。メイクをすることは、私にとって不要不急でもなんでもなかったんです。
とはいえ、ブランクが生じたのは事実。今っぽいメイクをどう取り入れようか悩む(コスメカウンターでの接客も限定的でしたし)。
なので『コンサバメイク革命』は今まさに読みたい本でした。毎晩寝る前に開いて「あ、メイクとアクセサリーのバランスって大事だな」「次はこんな色のグロスがいいかな」「眉、悩んでたんだよね」とメイクの作戦を練り、明日が待ち遠しくなる。
こちらで紹介されているリップを買いました。渋色のツヤリップ、間違いなかったね!
『コンサバメイク革命』がテーマとするのは「#洒落コン」メイク。洒落たコンサバメイクです。著者であるヘアメイクアップアーティストの笹本恭平さんが語る「コンサバ」が本当にすてきなんです。
本来、“保守的な”や“控えめな”などの意味を持つ“コンサバ”という言葉。ファッションやメイクにおいては、ダサい、お洒落の幅が狭い、お洒落じゃない人の代名詞、流行から置いてけぼりになっている……などなど、世間一般的に連想されるイメージは残念ながらあまりポジティブなものではないですよね。
何年もヘアメイクのお仕事をさせていただく中で、僕はその現実にずっとモヤモヤしていました。だって本来、コンサバなファッションやヘアメイクってものすごくお洒落。清潔感があって、女性特有の柔らかさもはらんでいる。根底に品のよさが漂っているから、凛としたイメージに振っても、スタイリッシュにキメても好印象。
これこれこれ! コンサバにいいイメージを持っていなかった人、ぜひ読んで! コンサバって遊び心もあって上品で可愛くて完璧じゃない?ってなる。たとえば次のようなスタイリングは、まさに「#洒落コン」だなあと感動します。
上品なリブニットと日焼けっぽいメイクの組み合わせってめちゃくちゃお洒落。街で見かけたら目で追ってしまう。笹本さんが高らかに叫ぶ「胸を張ってコンサバ!」に全面賛成です。習得したい!
ほんと、鏡に向かうのが楽しくなる1冊です。
エッジの効いた言葉に元気が出る
笹本さんが提唱する「#洒落コン」メイクを会得すべく1ページずつ読み込んでみました。ああ楽しかった。写真も素敵ですが、言葉もいいんです。
たとえばこちら。
「肌と眉で半分完成 あとはお遊び」でいいんですね。肌、目元、口元、すべてのパーツに対して「#洒落コンとはどんなものであるか」のコンセプトがきちんと語られるのです。
大人の女性にとって本当に大事なのはベースメイクと眉メイクをきちんとすることだと、僕は思います。正直、肌が品よくツヤッとしていて、眉が時代にマッチしてさえいれば、メイクは半分完成したも同然。
しみる。眉って時代が出ます。「肌と眉で半分完成、肌と眉で……」と呪文のように唱えながら読み進めると、笹本さんによる「では、洒落コンな眉や肌はどんなもの?」という具体的な解説が始まります。
色、シルエット、部位ごとの眉毛の取り扱い方法がわかりやすい。
続けて笹本さんが現場で愛用する名品紹介も。待ってました、アイテム紹介めちゃくちゃ好きなんですよ。
手書きコメントのひとつひとつに愛を感じる。私は眉毛がフサフサなので、こちらで紹介されていたSUQQUのボリュームアイブロウマスカラ04をまずは取り入れることにしました。眉がクッと3Dになって、すごく綺麗。
洒落た眉の作り方も、ひとつひとつ手順が紹介されます。
タイムラインに沿ってコスメが示されるのもわかりやすくて好き。眉っていつも鬼門なんですが、これなら自分でも今っぽいメイクに仕上げられそう。
肌と眉だけじゃなく、顔の全てのパーツから髪や指先にいたるまで「#洒落コン」メイクの極意があるのです。
ああ、洒落てる……! 大人が可愛い色をメイクに取り入れるコツはもちろん、コンサバの王道であるブラウンシャドウとのお洒落な付き合い方も教えてもらいました。めくるめくコンサバメイクの世界、ほんと楽しいですよ! おすすめ!
そして、ぜひ紙の書籍を手にとってほしいです。表紙の佐々木希さんが可憐で大人っぽくて日々拝みたいレベルですし、本のサイズ感もいいんです。少し小ぶりなファッション誌サイズなのでゆったりと読めます。モデルさんの表情やメイクの淡い色づかい、そしてコスメのきれいな造形を堪能してください(物体として美しいんですよね、コスメって)。
レビュアー
元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。