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2021.03.04

レビュー

プリン+ラーメン!? 人工舌が科学的にはじき出した、脳を狂わすレシピ88

“生ハムメロン”って最初どう思いました?

わさびと海苔のお茶漬け、チキンカツの載ったカレー、黒胡椒とウォッシュチーズと赤ワイン、サヴァランと濃い紅茶。私が普段「ああ、おいしそう!」と思う食べ合わせだって、最初はアバンギャルドな食べ方だったんじゃないか、と思う。だって、うまれて初めて“生ハムメロン”という言葉を聞いたとき「は?」と思ったもの。きっとみんな怪訝(けげん)な顔で口にされ、おいしさを知らしめ、ファンを獲得していったに違いない。

と、思ってきたのに、『ソッコーで人間をダメにするウマさ 悪魔の食べ合わせレシピ』に登場する食べ合わせの数々に「は?」と何度も眉をひそめてしまった。

“バナナ+シラス”にはじまり“ラーメン+プリン”なんて食べ合わせまでご提案される。おいおいおい……。アバンギャルドにも程がある。でも、私は“生ハムメロン”が勝ち取った実績を知っているじゃないか。「食に対して、私は好奇心旺盛」とか思ってきたじゃないか。

それに、本書は闇雲にレシピを提案しているのではない。おいしさを可視化する人口舌『味覚センサーレオ』のデータをもとに「これ、いけますよ!」と言っているのだ。



すべての味覚が強い食べ物は「おいしくない」。わかる。絵の具を混ぜすぎると真っ黒になって全然きれいじゃないのと似ている。

では、どんな組み合わせがやみつきでおいしいのか?

甘味と塩味が同程度の食べ物はやみつきになりやすい特徴があります。
例えばツナマヨおにぎり。コンビニおにぎりで一番人気というのも納得の、やみつきの味です。(中略)
塩味は刺激系、甘味は中和系の味覚に分類され、この2つの味覚で刺激→中和を繰り返すと、脳はもっと食べたい! と指令を発します

ツナマヨおにぎり! ホントだ、つい選んじゃう! なんだか信頼できそう。よし、やってみよう。

大丈夫かなー。

作りながらクラクラしてくる

どのレシピにも「なぜそれが悪魔的においしいのか」に関する解説がある。



パンチの効いたビジュアルと、理知的かつシズル感をふくんだ解説文と、五角形の味覚グラフの組み合わせが味わい深い。

実際にやってみた。



想像もしてこなかった見た目にクラクラしてくる。薄切りにして載っけてみた。



ちょっと気の利いたおつまみ感がある! 本にある通り、「バナナ2:シラス1」くらいがちょうどよい。実は、バナナ+シラスに関しては、私はちょっと勝ち筋が見えていた。子どもの頃に自分で勝手に編み出した「シラス+牛乳」が好きなのだ。(ちなみに背はまったく伸びなかったので、カルシウムだけじゃダメなんだなと身をもって知った)

次! 「chapter3 食材のポテンシャルを引き上げる、簡単調理」で紹介されていた「明太子+リンゴ」。

旨味と辛味が絶妙な明太子。アツアツご飯にのせて食べるのもおいしいけれど、あえ衣としても最適。まずは明太子2腹分をほぐし、細切りにしたりんご1個とパパッとあえるだけ



こちらも「こだわりの日本酒バーのおつまみ」っぽさがある。あと、あえてから少し時間を置いたほうが明太子の塩気とりんごの甘味がなじんでおいしかった。

このことは本書でもちゃんと説明されている。

また、何かの味を“かける”際は、かけた後にしっかりと“あえる”ことで、初めて出会うおいしさを発見できます。

料理をするうえで大事なコツだ。

そしてメインイベント。「ラーメン+プリン」もやってみた。


イラストがかわいい。「食べ物で遊ぶんじゃありません!」と怒る小学校の先生が目に浮かぶ……いや、私たちは真面目にやってるんですよ、おいしいものが食べたいんです。

本書のおすすめ通りチキンラーメン+プッチンプリンでやってみることに。


 
プリンが卵なので半熟卵や煮卵はいらないだろうと省略。



圧巻のビジュアルだ。少しずつ崩しながらラーメンをすする。結論。私の場合は、「どんぶり1杯のチキンラーメンに対して、小さじ1杯半のプリン(カラメルじゃないところ)」が好みど真ん中だった。甘さのエッジが効いたコクのあるスープになったところでプリンは小鉢に一旦退いてもらい、冷やし直してあとでコーヒーと一緒にいただいた。

さいごに、一緒にたべてもらった家族に最も好評だったのはこちら。



「きつねうどん+梅干し」。酸っぱめの梅干しとあわせるとサッパリおいしい。そして、お揚げってこんなに甘かったのかーと再認識。

この他の食べ合わせのなかには、ミシュランのビブグルマンに載った和食屋さんの名物「柴漬けのタルタル」によく似た「タルタルソース+カリカリ梅」なんてものもある。『味覚センサーレオ』、君は正しいよ……。

かわいいイラストに「は?」とびっくりしつつ、ひとつひとつの解説にうなりながら試してほしい。ちなみにこちらのような大変実践的なアドバイスも教えてくれる。

食べすぎ回避には、脳を早く満足させる昆布やカツオ節のだしなど、旨味の強いものを摂るのが効果的。

そう、この本はとってもまじめなのだ。

まだ見ぬ食べ合わせに出合うだけじゃなく、もしかしたら、あなたが日頃「本当はこれ、おいしいんだけどなあ」と人知れず楽しんでいる食べ合わせに再会し、その正体がわかるかもしれない。

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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