■藤野嘉子さんの60歳からは「小さくする」暮らし
60代になって、住み慣れたマンションを手放し、広さ半分以下のマンションに引っ越した料理研究家の藤野嘉子さん。自分らしく、気持ちのいい、暮らし方のヒントを『かんたん年金家計簿 2020』のコラムで紹介しています。
時代の変化を受け止める
自宅を売却することには葛藤もありました。仕事にも生活にもとても便利な場所にありましたし、3人の子どもたちとの思い出も詰まっています。そのうち子ども世帯と同居するかもしれないとぼんやり考えてもいたのです。だけど、世のなかの変化のスピードはどんどん速くなっていますから、これまでと同じ生活では、変化についていけません。暮らし方も若いころと同じようにいかないのです。
持ち家にこだわらない
日本では、家を買うことが一大事で老後は持ち家さえあれば安泰と考える人も多いようです。だけど、持ち家にこだわらず、賃貸物件を選択肢に加えると、そのときの状況に合わせて身軽に引っ越すことができるようになります。現役時代より収入が減り、肉体的な衰えもあるのがシニア世代の現実。だからこそ暮らし方を柔軟に変えてうまくいくこともあるのです。
リフォームより売却
持ち家はお金がかからないと思っている人も多いのですが、設備が古くなればリフォームが必要ですし、固定資産税もかかります。家族の人数が減ったのに広い家に住み続けていると掃除など労力も必要ですし、賃貸に住み替えたほうがラクになることも多いのです。家の売却は、夫婦が元気なうちならしっかりと交渉ができます。売却で利益が出れば、老後資金にも気持ちにも余裕が生まれるのです。