この本を片手に始めてみよう……とやる気が出てくる、やさしく書かれた実践書です。「らくらく」という言葉に惹かれてやってみました、スロージョギング(以下SJ)を……。
「フォアフット着地」って?
これまでかかと着地で走っていた人にとって、最初はフォアフット着地の感覚をつかむのが難しいかもしれません。
やはり最初の関門は「フォアフット着地」でした。
普通に走る場合、多くの人はかかとから着地してつま先で地面を蹴る、という走り方をします。
フォアフット着地とかかと着地の2つをnetで調べてみました。次のような記事がすぐ見つかりました。
「フォアフット (ミッドフットとも言います)着地とは、足裏のやや前方、爪先寄りで着地することです。着地時における脚や体へのダメージが少ないとされています。踵着地とは、踵から着地することです。進行方向に逆らって着地しますから、踵でブレーキをかけて走っていることになり、体や脚への負担が増すとされています。世界の長距離界に衝撃を与え続けているケニアやエチオピアの選手のほとんどがフォアフットで着地しています」(https://www.otsuka.co.jp/a-v/kubo/index-35.html)
通常のかかと着地の場合、着地のときにかかる地面からの衝撃は体重の3倍といわれ、対するフォアフット着地の場合衝撃は、その3分の1程度ですむのです。
SJは、膝やかかとへの負担が少ない運動ですから安全性も高いということなのです。
これほど負担に違いがあるのでしたら、膝を守るうえでもフォアフット着地は絶対マスターしたい。
ジャンプ練習でフォアフット着地を身につける
フォアフット、フォアフットと意識しすぎると、つま先だけで地面に接地してしまい、ふくらはぎが張ってしまいました。
フォアフット着地は着地後、かかとを「自然に地面」に着くようにしないとダメだそうです。
このフォアフット着地の練習法が次の図です。
フォアフット着地で走るときのコツは、まず背筋を伸ばして立ち、体を前方に傾けます。このとき、軸を保つ意識を持つことが大切です。そして、倒れないように足を出して走り出すのです。上半身はリラックスした状態で、地面は蹴らずにジャンプするイメージで。
体を前方に傾けることで着地がフォアフットになりますが、あまり傾けると、いわゆる普通の走り方になってしまい、歩幅が広くなり、後で出てくる歩幅のキープができにくくなるので要注意。走る気持ちが強すぎても歩幅が広くなりがちになります。
走る前のウォーミングアップとして、このジャンプを数回するといいようです。フォアフット着地の感覚がつかめます。上図のようにジャンプすれば確かにフォアフット着地にはなります。
また、体を前方に傾けることで着地がフォアフットになりますが、あまり傾けると、いわゆる普通の走り方になってしまい、歩幅が広くなり、後で出てくる歩幅のキープができにくくなるので要注意。走る気持ちが強すぎても歩幅が広くなりがちになります。
ところが、交差点などで足踏みしているとうっかりかかと着地に戻ってしまいます。前傾気味にするとフォアフット着地に戻りますが、油断は禁物。背筋が正しくなっていません。
そんなときには、もう一度正しい姿勢を思い浮かべて体勢を調整。
正しい姿勢のおさらいがこれ。5つの忘れてはならないポイントがあるので頭に叩き込んで体で覚えましょう。
走ってみて思ったより難しく感じたのは歩幅のとりかたでした。「歩幅は小さく小刻みにする」といっても前傾気味で走る姿勢にすると歩幅はついつい広くなってしまいます。ともかく歩幅を狭く(20~40cm)することが肝心なのですがこれが思ったよりすぐには慣れません。やっぱり「走る」という意識が残っているのでしょうか、最初は歩幅を狭めると前につんのめるようになってしまいました。少し足踏み風にして慣れるようにしてみました。
さらに「1分間で180歩(15秒で45歩)のペース」で走ること……。歩幅が広いと足を動かすペースは少なくなります。目安としてとは書かれていますが、なかなかその歩数にはおよびません。「足を動かすペースが遅い」という言葉が耳にいたい……。
天気の悪い日には室内でステップ運動を
外を走れない日にはこのステップ運動をするといいそうです。この運動はペースをつかむだけでなくフォアフット着地の練習にもなります。「4秒に1回の登り降りが目安」で10~30分かけて行います。
ステップ運動は30分もやるとかなり汗をかきます。ですからSJの代わりという以上に持久力と筋力をアップすることもできます。その効果が紹介されていました。
乳酸閾値が明らかに上昇(略)閾値が上がったということは、最大酸素摂取量が上昇、乳酸を蓄積することなく運動できる強度が上昇したということになります。
また、それだけでなく、膝の痛みを訴えていた人の87%で痛みが軽減したという報告もあります。
室内のトレーニングではもうひとつ紹介されています。少し室内スペースが必要ですがおすすめです。
このスロージョギング&ターンはかなり効率の良いエネルギー消費ができるそうです。
動画もチェック
SJでは速く走ることはありません。一緒に走る人がいたら彼ら・彼女たちとおしゃべりできるニコニコペースでいいのです。ですから腕も振るというより「軽く揺する程度」。
このペースで誰かと一緒にすればムダな力が足にかかることもなく、ついつい速く走ってしまうこともなくSJができます。
初心者にお薦めなのが「1分間SJ&30秒ウォーク」というメニューです。
・1分間SJで走った後、少しだけ早歩きのペースで30秒間歩く。
・このセットを40回、1日トータルで1時間が目標。
この本にはYouTube動画の二次元バーコードが載っていますから、SJの全体像をチェックしてみましょう。
後はやり続けることです。
気になる効果は?
SJの効果が5つあげられています。(メカニズム等の詳しい内容は本書を読んでください)
1.体力アップ
2.減量効果、メタボ改善
3.生活習慣病改善
4.脳機能の改善
5.がん予防
SJの日常的な運動は血糖値を下げ、成人病の予防になります。さらに持久力を高めることで「がんの予防に限らず、免疫力を高めることでさまざまな感染症から予防することができます。
気になる脳機能の改善では「脳の老化対策」にも効果があることを示すグラフがあります。
自宅で英会話の学習番組などを観ながらステップ運動をしたり、誰かとおしゃべりをしながらSJに取り組むのは、とてもいい認知症予防になります。
またダイエット(減量)を考えている人は第5章の「食事法もプラスして減量効果アップ!」を読んでください。3食の具体例が載っています。さらにダイエットが続かないと悩んでいる人には「セルフコーチング」のやり方も載っています。これも具体的に書かれているのでダイエットをやり続ける味方になるでしょう。
またこの本の中では8名のSJ実践者の体験談が載っています。巻末の高畑淳子さんと著者の対談もあわせて読むとSJ実践の励みになると思います。(思わぬ人の実践も載っています)
レビュアー
編集者とデザイナーによる書籍レビュー・ユニット。日々喫茶店で珈琲啜りながら、読んだ本の話をしています。政治経済・社会科学から芸能・サブカルチャー、そして勿論小説・マンガまで『何でも見てやろう』(小田実)ならぬ「何でも読んでやろう」の2人です。