マッサージのお店に肩こりの治療を受けに行くと、こっていて伸ばすと痛みを感じる肩の部分だけでなく、手首の部分を伸ばすストレッチを受けます。はじめはなにをやっているんだろう? 効果あるんだろうか……でも、まあいいか……と半信半疑でいました。が、確かに効果はあるようです。でもなぜ……?
その謎がこの本を読んですっかり解けました!
ガンコな肩こりは「手首アーチの崩れ」が原因だったのです。
「手首アーチ」ってなに?
人間が進化の過程で四足歩行から二足歩行となり「高いところのえさをとる」必要が出てきました。そのため「手首が空中で自由に動くように」なり、「えさをつかむために親指と小指が向かい合わせに」なりました。こうして人間は「指先が上を向くように手首を曲げて」生活をするようになりました。この時の手首はキレイなアーチになっています。
本来の正常なアーチになっている手首と、アーチが崩れ不調を招く手首の違いが下の図です。
ところがスマホ、パソコンを日常のツールとしている現代人は、手首を上向きに曲げず、下げていることがほとんどで、手のひらをベタッと開いている時間が多くなり右側のアーチなしの図のようになっている人が多いのです。
まずは自分の手首を診断
では自分の手首は正常なアーチ形になっているのか、どれくらい崩れているのかを診断してみます。
このとおりにやってみました。
チェック1で早くもアウト。左右ともツメの向きがずれてました、残念。
チェック2は右手はOKでしたが、肩こりがひどい側の左手は1センチほど手首の幅をこえました。あああ……。
ではどうするか……。
こっている肩をもみほぐすのは対症療法。それよりも手首アーチ崩れを正すことをしなければいけません。これがこの本を読んで学んだことです。
そのために実行しなければならないのは、たった3つの体操。
1.手のひらもみ:手のひらの筋肉をほぐす。
2.手つぼみ体操:アーチをつくり、下がった手首を持ち上げる。
(小指体操を加えるのがいいそうですが、小指だけ動かすのは結構たいへんです)
3.肩上げ体操:肩甲挙筋(肩こり筋)をほぐす。(手をすぼめて行うのが大事)
これを続ければ手首アーチの崩れは改善されます。(詳細、といっても難しくはありませんので本書を参考にしてください)
まだまだある手首アーチの効果
手首アーチが正しくできるようになると、肩こり以外でも大きな効果があります。主な効果は8つ。
1.肩こり
2.小顔
3.疲れ目
4.二の腕のたるみ解消
5.猫背・スマホ首の矯正
6.腱鞘炎、ひじの痛み
7.頭痛
8.眠りが深くなる
このような効果が期待できます。
でも肝心なのは、体操をやり続けることです。なにしろ毎日、酷使している手首はすぐに「元の硬い状態に戻り」やすいからです。
で、ここで役に立つのが付録の「手首アーチ着圧サポーター」です。これをつけることで、手首アーチが自然にキープできます。(付録のサポーターのサイズは女性はL、男性はMサイズ相当までです)
さっそく着けてみました。はじめは少しキツい感じがしますが、すぐに慣れました。体操とあわせて、肩こり脱出を目指していきます。(サポーター着用者の体験談ものっています)
これも知っておこう
ところでなぜ手首アーチを正常な形にすると肩こりなどが治るのでしょうか? そこには筋膜というものが深く関係しているのです。
筋膜とは「筋肉やすべての細胞を覆う膜のこと」。
体は着心地のいい全身タイツのような1枚の筋膜で覆われ、姿勢や体の形が保たれているのです。
筋膜の正常・不調はこうなっています。
ためしにネットで筋膜リリースという言葉を検索すると多くのトピックスが見つかります。どれも、肩こり、腰痛等を治すにはこの筋膜を正常にすることが重要だという記事でした。
美容にも効果がある手首アーチと筋膜
手首アーチが正しくできるようになると8つの効果が得られますが、それ以外でも「美容」に大きな効果があります。
手の甲側の筋膜は二の腕を通って首の後ろへ、手のひら側の筋膜は胸の筋膜とつながっています。(略)手首アーチが崩れると、どちらの筋膜も過剰に引っ張られてヨレが生じます。そのヨレがまるで綱引きのように、二の腕や顔を下へ下へと引っ張っているのです。
その結果、「表情筋」で覆われている顔が垂れてくる。また手首アーチが崩れると「その中を通る筋肉がつぶれ」、さらには「二の腕もバスト」もたるんでしまいます。
「手首にアーチがある状態」とは「筋膜が整った状態」であり、健康だけでなく美容にも非常に大事なことなのです。このことを知ることができたのもこの本のおかげです。
人間の肩には実に多くの筋肉が集まっています。ざっとあげると、僧帽筋、三角筋、広背筋、上腕三頭筋、棘上筋(きょくじょうきん)、小円筋(しょうえんきん)などです。360度回転できる肩ですから、筋膜に大きな負担をかけるのもわかるような気がしました。それに加えてスマホ、PC生活でより歪みを与えているのでしょう。肩こりが現代病と呼ばれるのもわかります。でも肩がこったからといって肩や首をもめばいいわけではありません。体の仕組みを知って、正しく取り組む必要があります。まずはこの本を読み、手にサポーターをつけてみましょう。
レビュアー
編集者とデザイナーによる書籍レビュー・ユニット。日々喫茶店で珈琲啜りながら、読んだ本の話をしています。政治経済・社会科学から芸能・サブカルチャー、そして勿論小説・マンガまで『何でも見てやろう』(小田実)ならぬ「何でも読んでやろう」の2人です。