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2018.12.21

特集

知ってるだけで手紙の「格」が上がる基本マナー! 大人として知っておくべき文例

■中谷美紀さんはなぜ、あの直筆コメントを書けたのか!? 知ってるだけであなたの手紙の"格"が上がる基本マナー!

“達筆すぎる”と一躍話題となった、中谷美紀さんの直筆の結婚報告ですが、「“私”や“私こと”を小さく書いて、行のはじめに置かない」「固有名詞を2行に分けない」「“は・が・を”が行のはじめにこないように改行する」など、文面も手紙のマナーを知らないと書けない内容! 「まさに才色兼備」「マナーわかってる!」と巷でも絶賛の嵐です。

手書きの手紙を書く機会が激減したいまだからこそ、手紙のマナーを知っていると、ビジネスでもふだんのお付き合いでも、中谷さんのように一目置かれる存在になれるかもしれません。

そこで、知っているだけで手紙の“格”が上がる基本マナーを、手紙に関する書籍を多数執筆している中川越さんの著書『実例 大人の基本 手紙書き方大全』からご紹介します。

意外と知らない! 手紙の書き方の基本マナー

「が・に・は・の・を」は行頭を避ける

このマナーは、最近ではほとんど顧みられていませんが、「が・に・は・の・を」などの格助詞を行頭に置かないようにすると、相手がとても読みやすくなります。「……すばらしい贈り物頂戴し……」などといった文を、「……すばらしい贈り物」と行末に書き、「頂戴し……」を行頭に書くのではなく、「……すばらしい贈り物」と書き、次行は「頂戴し……」から書き始めるといった具合です。

書きながら調整して、行末に格助詞が来るようにしても、相手はあまり気づかないかもしれませんが、なんとなく読みやすい手紙にはなるはずです。気づかれない親切こそが、本当の親切かもしれません。

人名・数字・熟語は2行に分けない

手紙の大切な使命の一つは、正確な情報伝達です。したがって、誤読を避ける配慮は欠かせません。そこで、人名・数字・熟語など、ワンセットで意味をなす重要な単語は、行末と次行の行頭に分断することを避けるのがマナーとされています。

人名や熟語は分断されると誤読の可能性が高くなり、数字はとくに読みちがえやすくなります。薬の調合量や値段や時間を2行に振り分け、誤読を誘発させるようなことがないようにします。

エンピツ書きは失礼。安価なボールペンもNG

エンピツは下書き用の筆記具ですから、これを手紙に使えば失礼と思われます。消せるので証拠能力もありません。手紙を書くときの筆記具は、筆、万年筆、つけペン、あるいは、インク漏れやカスレのない高級なボールペン、もしくはパソコンなどを用います。フェルトペンや安価なボールペンは、改まった手紙には向きません。

フォーマルな手紙のインクの色は?

フォーマルな手紙のインクの色は、黒かブルーブラックが正式です。そして墨を使うときには、結婚式などのお祝いには濃い墨を用い、葬儀などの不祝儀では、薄い墨で書くのが常識です。薄い墨を使うのは、悲しみのあまり硯(すずり)に涙が落ち、墨が薄められるから、という説があります。もちろん、友人同士のパーティの招待状なら、思い切り派手な色を何色も使い、楽しい雰囲気に仕上げるのもよいでしょう。

便箋は薄い色が上品。社用箋の私用はダメ!

祝儀、不祝儀は必ず白い便箋を用います。改まった手紙は、内容に限らず、すべて白が無難です。改まった手紙でも、多少親しみや趣(おもむき)を込めたいときには、色のついた便箋でもかまいませんが、薄い色で白に近いもののほうが、上品な印象となります。

原稿用紙やレポート用紙を便箋代わりにするのは失礼です。いずれも下書き用の用紙だからです。また、たとえ正式な便箋でも、会社ロゴの入った社用箋を仕事以外で使用するのは禁物です。

便箋は1枚でもいいってホント?

便箋が1枚で終わってしまうときは、1枚だけを封筒に入れます。かつては、便箋が1枚で終わってしまったら、白紙の便箋をもう1枚添えて出すというマナーがありました。諸説ありますが、縁起が悪いという理由だそうです。今でも稀にそうする人がいますが、1枚で非常識と思う人は、ほぼいないといってよいでしょう。

宛名だけ最後の便箋に書いてはいけない理由

何枚か便箋を書いて、最後の便箋に、日付、自署名、宛名だけを書くことは避けます。最後が相手の宛名だけになってしまうことも、もちろんいけません。不体裁な印象になり、失礼を感じさせることがあるからです。書きながら調整して、少なくとも最後の便箋に本文の2、3行がかかるようにします。

テープで封をするのは失礼。ノリできちんと貼る

せっかく趣深い季節の便りを出しても、封締めがホチキスやテープでは、興ざめです。多少時間と手間がかかっても、封締めはノリで行います。ていねいにノリづけされた封を開けるとき、先方にこちらの時間と手間が静かに伝わり、趣や敬意がよりいっそう深まります。

手紙の基本マナー、あなたはいくつ知っていましたか?
“マナー”といっても、こちらの意図を正しく伝えるためのツールでもあり、相手を思いやる気持ちが形になって表れたものととらえれば、そう難しいものではありませんね。
マナーを知って、手紙美人(美男子)になりましょう!

出典元:https://kurashinohon.jp/856.html

中川越(なかがわ・えつ)

1954年、東京都に生まれる。雑誌・書籍編集者を経て、執筆活動に入る。古今東西、有名無名問わずさまざまな手紙から手紙のありかたを研究、多様な切り口で執筆した手紙に関する書籍は数十冊に及ぶ。著書のほか、東京新聞でのコラム「手紙 書き方味わい方」、NHKのテレビ番組「先人たちの底力 知恵泉」「視点・論点」への出演などを通じて手紙の良さを紹介している。

著書には『夏目漱石の手紙に学ぶ 伝える工夫』(マガジンハウス)、『文豪たちの手紙の奥義』(新潮文庫)、『結果を出す人の手紙の書き方』(河出書房新社)、『気持ちが伝わる手紙・はがきの書き方全集』(PHP研究所)、『完全 手紙書き方事典』(講談社+α文庫)など多数がある。

『実例 大人の基本 手紙書き方大全』のほか、料理、美容・健康、ファッション情報など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。

講談社くらしの本はこちら

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