「1日10分で痩(や)せるエクササイズ」といったものはこの世の中にたくさんありますが、10分ってけっこう長いんですよね。しかも器具を使うものだと余計に億劫(おっくう)になってハードルが上がります。
こちらの「ラクやせパッド」は、傾斜のある板に毎日たった1分乗るだけで体幹がリセットされ、ふだん眠っている筋肉が覚醒され、ひいてはダイエットにつながるというもの。各地でパーソナルトレーニングのジムを運営している佐久間健一さんというトレーナーの方が作ったもの。ミス・インターナショナルのトレーナーも務めているのだとか。何だかすごそうです。
■基本的な使い方は
「ラクやせパッド」の基本は、足の前部分を傾斜に置いて、立つだけ。そんなので効くのか?と思いましたが足を乗せた瞬間、ピキッとふくらはぎに普段使わない筋肉へトーンが入りました。腰にも緊張感が。ほんの数センチの段差でここまで違うとは。
床に降りた時の足裏の感覚が変わったのはすぐに気づきました。これが重心の位置が変わるってことなんですね。傾斜に秘密があるそうですが、確かにふだん使っていない筋肉が刺激されているのは感じます。
本書のテーマは、かかと重心からつま先重心になること。ふだん使っていない筋肉を目覚めさせるのが目的なので、逆に1分以上やってはいけないとされています。朝、夜2回1分ずつがベストだそうですよ。
とはいっても、たった1分で痩(や)せるなんてそんな都合のいい話ある……!? と思ったものの、惹(ひ)かれたのはこのコンパクト感。前が高くなって傾斜が付いたシンプルなパッドはペットボトルと並べてみても約2本分のサイズ。非常に小さいのです。
自宅でエクササイズを行う場合、問題となるのが場所ではないでしょうか。ヨガマットなどを使う場合、マットをクローゼットから引っ張り出してきて床にセットして、運動して、また片づけて……と、ズボラ人間にはこの一連の動作だけでもう一気にハードルが上がってしまうのです。少なくともズボラな自分には無理で、過去に購入した「いつか使おうと思っているストレッチ器具」がいくつも眠っています。
この「ラクやせパッド」のいいところは、トレーニングの冊子が非常に薄くてやることが少ないこと。内容物はB5サイズの冊子を開けてみると、ピンク色の小さなパッドと36ページの薄い冊子のみのシンプルな構成。
はじめは情報量として少ないのでは?と思ってしまったのですが、これまで散々分厚いトレーニング本を買って挫折してきた自分を思い返すと、この本はとても理にかなっていることに気付きました。
毎日ストイックにジムに通うような人は恐らくこの本には手を出さないでしょう。運動しなきゃと思いつつも、3日坊主で終わってしまう。私のような心の弱い人がちょっと手を出すには、分厚い本は向かないのです。たくさん載っているメニューをきちんとこなせないプレッシャーに負けないで続けるためには、嫌というほどシンプルで短い動作である必要がある。さすが、ダイエットに挫折する人の気持ちを分かっている人の作った本です。
■2週間続けてみた結論は?
「効果を感じられるのは2週間目から」とあったので、実際に試してみました。途中、海外旅行に行った日もあったのですがスーツケースの奥に忍ばせていきましたよ。海外旅行にも持っていけるこの軽さとコンパクトさは「出張や旅行を機にサボってそのまま放置」というシチュエーションも避けられるのがいいですね。
で、痩(や)せたかどうか?ですが……。はっきり体重が減ったとか見た目がスッキリしたと人に指摘されたものはなかったのですが、自分のなかで「あれっ?」と思った手応えがひとつありました。
歩いているときにすっと脚を前に出しやすいのです。太ももの筋肉を動かしやすくなったか、重心のバランスが変わったからではないかと思います。
これからの季節、厚着で体型が隠れることもあるし、寒いなかわざわざ外に走りに行ったりするのは相当な根性がいります。でも、寒い時期のほうが体を温めようとして代謝が上がっているので夏よりも冬のほうが痩(や)せやすいそうなんですね。
エクササイズの効果がはっきり出るには3ヵ月くらいかかるというので、もっと効果を感じるためには継続が必要だと思いますが、「ラクやせパッド」の場合は「乗るだけ」という心理的ハードルの低さのおかげで続けられそうな気がしています。
運動って、筋肉痛になるとそれをきっかけにサボってしまうことも多いですし手間のかかるものは「時間ができたらやろう」と後回しにされがちです。また、ジム通いは飲み会や残業などで予定が狂って行けなくなると、そのままずっと行かなくなるパターンも多いですよね。
運動したい、しなきゃと思いつつずっと手をつけられていない。始めたけど挫折してしまった。そんな方が“ユルいきっかけ”として始めるにはこのくらい簡単なもののほうが挫折しないのではないかと思いました。
「くびれ」「ひざ肉」「ふくらはぎやせ」「腰痛」など、ポイント別のエクササイズも網羅されています。気になるポイントを絞って1日1分、朝晩続けてみるのが良いのでしょう。
ちなみに私の場合は、「ラクやせパッド」を洗面所に置いて歯磨きのときに乗るようにしています。本当は乗ることだけに集中したほうが良いと思うのですが、歯磨きとセットにしたほうが乗り忘れがないので、あくまでも継続重視で習慣に取り入れることを優先していきたいと思います。
レビュアー
20代のころは探偵業と飲食業に従事し、男女問題を見続けてきました。現在は女性向け媒体を中心に恋愛コラム、男性向け媒体では車のコラム、ワインの話などを書いています。ソムリエ資格持ちでお酒全般大好きなのですが、花粉症に備えて減酒&白砂糖抜き生活実践中。