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2018.09.15

レビュー

「私のお尻いいじゃん」最近、ずっと機嫌が良いです。“美尻トレ”は七難隠す!

岡部友さんの本を紹介することができて嬉しい。ここ数年、常時お尻が筋肉痛だ。南米産のビキニを着てビーチで調子に乗りたいからトレーニングをしている。先日贈られたバースデーカードの寄せ書きが「やっぱスクワットですか?」といったメッセージで埋まっていた。お祝いムードゼロの質問箱みたいなカードを手に「成果だ」と誇らしかった。私のお尻が祝福されている、と。

パーソナルトレーナーである岡部さんが主催するジム“SPICE UP FITNSS”は美尻づくりで有名だ。尻トレーニーにとって夢のような場所。彼女のSNSもよく拝見している。(ジムでヒップスラストに励む女子がこの一年で急増したのは彼女の影響にちがいない)

つまり憧れの人だ。ボディラインの美しさに加え、トレーニングと向き合う姿勢やフィロソフィーがとても力強く優しいので尊敬している。彼女が手がけた『美尻バンドトレーニング』は、体を鍛えることの楽しさと実践、この両方を教えてくれる。嘘のない、わかりやすい、誠実な指南書だ。

バースデーカードの「そのお尻どうやって作るの?」という質問への答えは、まずはこの本だ。みんな読んでね。

「流行っているから」じゃない

どの時代にも、その瞬間カッと脚光を浴びるトレーナーやダイエット法がある。あらわれては消えるそれらを思い出すと「飽きる(=失敗する)から次々出てくるのかな」と思う。そんなふうに消費してしまうのも、消耗するのも、いい加減しんどい。「身につくこと」があればいいのに。

本書で岡部さんはそのことに言及されている。

最近は「美尻」注目が集まり、インスタグラムでは、お尻を自撮りする「ベルフィー」も流行しています。でも、お尻を鍛えることは見た目の問題ではなく機能面から考えれば当たり前のこと。長時間座っていることが多い現代人は、お尻の筋肉をほとんど使えていません。本来の機能を復活させることでお尻まわりの筋肉の負担が減り、腰痛や膝痛なども軽減することができます。

見た目や流行りに左右されない確かな理由あっての尻トレなのだ。

ということで、ブレない尻トレの実践法について紹介したい。


ノーエクスキューズの美尻バンド

「#noexcuse(言い訳無用)」というハッシュタグでインスタグラムを検索すると、モリモリに鍛えた男性と美しいボディラインの女性の写真が無尽蔵に出てくる。ノーエクスキューズ、大事!

本書もそんなノーエクスキューズを助ける良いツールがある。

それが付属品の「美尻バンド」だ。このかわいい桃色のゴムバンドは「難しい」「負荷をかけるのが大変」「場所がない」といった言い訳を吹っ飛ばす。

まず「難しい」の解決方法について。

・足をどのくらい広げたら良いの?
・「膝の力が抜けないようにする」にはどうすればいいの?
・そもそも「膝の力が抜ける」ってなに?

上記のような疑問は、パーソナルトレーナーに「こうです!」と実際に教わるとわかりやすい。美尻バンドを足に巻くことで、同じようにコツが掴(つか)みやすくなる。

そして「負荷(重り)をかけるのが大変」と「場所がない」という言い訳について。

ダンベルが部屋にあるってどうですか? 私は、持っているが、ゴツいので普段は隠している。旅先でどうしますか? スーツケースにダンベル入れますか? 私は入れない。でも美尻バンドはスマホよりビキニより軽くてかさばらないから、旅行先にも連れて行ける。これでジムのないホテルでも安心だ。言い訳ハイ消えた。

雑誌の付録にありがちなペラペラ感はなく、とても頑丈なバンドなので、安心して力いっぱい使ってほしい。


お尻トレーニーでもお尻が痛くなる

実際やってみると、1冊一気には不可能で、メニューにそって1週間トレーニングを行った。

2種目めの2セット目あたりでお尻がギュッと痛くなり「岡部さんマジですか」と独りごちる。汗もダラダラ。しかし桃尻は育てたい。ノーエクスキューズ。

頻繁にメニューに登場する「モンスターウォーク」が地味に効いた。馴染みのトレーニングとは違う部位を鍛えているのだろう。そして「ヒップスラスト」を自宅で行えるのが嬉しかった。とにかく尻がこんもりしてくる良種目だ。

しかも全てのトレーニングは実践動画がオンラインで公開されているので勉強になる。

続けたくなる工夫

岡部さんは尻トレをいかに楽しく続けるかのコツも教えてくれる。

Q:自宅でのトレーニングだから普段着のままでOK?
A:体のラインが出るものを (中略)動きがわかりやすく、トレーニングへのモチベーションアップにつながります。

ここをハッキリ言ってくれる人を待ってたよ! スパッツの上にショートパンツを合わせる人も多いが、スパッツ単体でトレーニングしたほうが「私のお尻いいじゃん」と自信がわく。重要! (岡部さんが本書で着用しているルルレモンは生地も縫製も良くてオススメです)


お尻を鍛えると機嫌がよくなる

この言葉は真実だ。筋トレは努力がそのまま体に反映される。PDCA(計画、実行、確認、改善)を1人でグルグル回す爽快感を手っ取り早く味わうこともできる。

それに、丁寧に育てた自慢の盆栽が自分の体に24時間くっつているような状態なのだ。お風呂上がりも、試着室でスカートをはいたときも、毎朝鏡の前でじぶんの姿を見る瞬間も、とにかく機嫌がよくなる。ここまでご機嫌のチャンスが多いとずっと機嫌がいいと言っても過言ではない。


小さな自信

Q:ズバリ、このトレーニングでボリュームアップした美尻は夢じゃない?

この問への回答を読んでジーンとしたので最後に紹介したい。

A:ゴムバンドを使ったトレーニングは、普段あまり使われることのないお尻の筋肉に刺激を与えるのにとても重要なこと。(中略)ただし、ボリュームアップを目指すにはウェイト(重り)をつけるなど、さらなる負荷が欠かせません。自宅での美尻トレーニングは第一歩。小さな自信を積み重ねることで、ジム通いへのきっかけになればと願っています。

岡部さんは「この1冊で楽々!」なんて絶対に言わないのだ。「体を作る」ことをちゃんと考えている人の、まじめで誠実な言葉だ。小さな自信は自分を助けてくれる。トレーニングはその積み重ねで、そこが美点だと思う。

本書は、女性の筋トレの第1歩として最良の1冊だ。私のようなジム派のお尻信者も、新しい尻トレを試すきっかけになるだろう。トレーニングは何歳からでも始められる。私は20代の頃の脂肪の薄い体よりも30代の今の体のほうが俄然好きだ。

レビュアー

花森リド イメージ
花森リド

元ゲームプランナーのライター。旅行とランジェリーとaiboを最優先に生活しています。

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