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2018.07.02

特集

汗やタバコのスーツ、消臭スプレーはNG?【ビジネスマン身だしなみ向上委員会】

■汗をかいたらシュッシュッ。その臭い対策、間違っています

気温が高くなるにつれ、気になるのが汗の臭い。汗の臭いをツーンと漂わせていると、職場の上司や同僚に敬遠されがちです。また、飲み会のあとのスーツがタバコ臭い、という経験がある人も多いはず。この臭い問題について、「ほとんどの人が間違った対処をしている」と話す松屋銀座の紳士服シニアバイヤーである宮崎俊一さんに、正しい解決策をうかがいました。

【安易に消臭スプレーをすると、スーツの寿命を縮める!?】

飲み会などでついてしまったタバコや食べ物の臭いの対処方法として、誰もが一度は試すのが消臭スプレーです。出張先のホテルに備え付けられている場合もあるので、試したことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、間違ってもスーツに消臭スプレーはしないでください。生地を傷めることになり、繰り返し使っていると、スーツの寿命を縮めることにもなりかねません。

私がおすすめする消臭アイテムは、スチームアイロン。なければ、霧吹きでもかまいません。水が蒸発するときに臭いを消してくれます。全体に霧吹きをして陰干し、これでOKです。

【クリーニングでは汗の汚れは落ちない】

汗をたっぷりかいたスーツは、クリーニングに出すことでリセットできると思っている人がほとんど。多くの方が認識されていないと思いますが、ドライクリーニングで汗は落ちません。石油系の溶剤で洗うドライクリーニングは、皮脂などの油性の汚れを落としてくれますが、水溶性の汚れは一切落とさないのです。

クリーニング店によっては、“汗すっきり加工”というのがあります。でも高圧の水蒸気や簡単な水洗いだけなので、スーツにたっぷり浸み込んだ汗を完全に落とすことは不可能。クリーニングに出しても汗汚れは残っていると思ってください。夏場に30回着たスーツには30回分の汗が染みこんだままの状態になり、ほっておくと雑菌がわき、変色してしまいます。これが臭いの原因になるのです。

【汗を放置すると雑菌が繁殖し、臭いの原因に】

汗の対処法は、第一にブラッシング。その後、襟や肩まわり、脇、パンツのウエスト部分などに染み込んだ汗を蒸しタオルで吸い取ります。たまにパンツの内股部分が変色している方を見かけますが、あれは尿ではなく汗です。汗を取らないまま放置したために変色し、尿で汚れているともとられかねないことに。

蒸しタオルは、濡らしたタオルを硬く絞り、そのまま電子レンジで1分加熱すれば簡単にできます。肩まわりと襟は軽く押さえ、脇はタオルで脇をはさむようにして汗をタオルに吸い取っていきます。たっぷり汗をかいた日は数回繰り返すこと。決してこすらず、押さえるのがポイントです。あとはハンガーにかけて自然乾燥し、中2日は休めてください。

汗が乾いて雑菌が繁殖する前にひと手間かければ、スーツの寿命は確実にのびます。ドライクリーニングを2週間に1回出す人と、シーズンに1度しか出さないけれど汗の手入れをしている人とでは、後者のほうが臭いません。

宮崎 俊一(みやざき・しゅんいち)

1965年北海道生まれ。1989年株式会社松屋入社。1998年より紳士服バイヤーとして活躍。独学でイタリア語を習得して生地の買い付けに出向き、国内の仕立て職人とともに作る「丸縫い既製スーツ」が人気を集め、イタリア製スーツを凌駕するその品質の高さはアパレル業界を驚愕させた。現在はIFIビジネス・スクール、青山学院大学、首都大学東京、東京経済大学においてファッションビジネスのカリキュラムで講師を務める。毎日新聞の連載、ファッションセミナーなど幅広く活動している。著書に『成功する男のファッションの秘訣60』『成功している男の服選びの秘訣40』『ビジネススーツを格上げする60のルール』(講談社)がある。

『ビジネスマン「身だしなみ」向上委員会』のほか、料理、健康・美容など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。

講談社くらしの本はこちら

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