キャベツの積み込み、炭鉱労働、レンガづくり、材木切り出し、公用トイレの掃除、凍てついたゴミの分別など、強制労働の具体的な内容が次々出てきます。素朴で親切なロシア人、そうでない人々との交流も。この「家にじっとしてるだけで、家が息を吹き返す」感覚は、護送しているロシア人の兵も共有していた描写がありました。昔は今より、ボロボロの家に引っ越す機会も多かったことでしょう、誰もが感じる、当たり前の感覚だったのでしょうか。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』『オレは子を見て育とうと思う』『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』『おとろし』『カラスヤサトシの孫子まるわかり』『カラスヤサトシの戦国散歩』など多数。近刊にこの連載「文庫で100年散歩」を収録した『カラスヤサトシの日本文学紀行』があります。
近況:立派な飾り梯子をいただきました、さっそくこれまた頂き物の壺を飾っております。