いもとようこの絵本
「この絵、見たことがある!」、今年の5月に上野の森美術館で開かれた“いもとようこ原画展”。会場を訪れたのは、子どもから若い女性の友だちどうし、女性と男性のご夫婦づれ、ご年配の女性のグループなど実にさまざま。子どものころに出会った絵や、子どもによみきかせていた絵本の絵が数多く展示され、当時を思い出しながら語られていたのが、冒頭のことばでした。いもとようこさんは、和紙をちぎって貼る「貼り絵」という手法によるあたたかみのある世界観で、日本のみならず世界でも高く評価され、イタリアのボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞された絵本作家です。一昨年の2015年3月にはイタリアで、4月にはフランスでも原画展を開催され、大きな話題を呼びました。
感動の実話絵本 最新作『しあわせ』
いもとさんの数多くの作品の中で、実話をもとにしたシリーズも読者から人気が高いものの一つです。最新作の『しあわせ』は、家族のしあわせの姿を描いた小学生の女の子の作文に心打たれたいもとさんが、その作文をもとに、脚色を加えた作品です。
定価 : 本体1,400円(税別)
毎日たくさんの洗濯ものをしているお母さん。子どもから見るととても大変そうで、お母さんにたずねます。
「おかあさん、まいにち おせんたく、たいへんじゃない? いやじゃない?」
お母さんはにっこり笑っていいました。
「しあわせ」
「しあわせ? どうして?」
母子のやりとりから、日々の暮らしの大切な気持ちに気づかせてくれる、やさしくあたたかなお話。
その他の感動の実話絵本シリーズ
定価 : 本体1,500円(税別)
ペンギン親子の、感動的ないのちの物語! 南極の冬、マイナス50度。コウテイペンギンの夫婦は、いのちをかけてたったひとつのたまごを守り、育てます。やさしい絵とともに、いのちの重さを子どもに伝える絵本です。
定価 : 本体1,500円(税別)
今日こそ帰ってくると信じて、雨の日も風の日も、雪の日も……。10年もの長い年月、駅で先生を 待ち続けた秋田犬、ハチ。先生を最後まで愛し続けたハチを描いた、世代をこえて伝えたい物語です。
定価 : 本体1,400円(税別)
寒い冬の日、うさぎのみみたんは、てぶくろを持っていません。おねえちゃんは片方のてぶくろをはずし、貸してあげます。もう片方のてぶくろも貸して、というみみたんにおねえちゃんは……。朝日新聞に投稿された実話をもとにした、心がぽかぽかになる絵本です。
兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学油絵学科卒業。貼り絵の手法による、心あたたまる世界は、幼児から大人まで、幅広く愛されている。『ねこの絵本』『そばのはなさいたひ』でボローニャ国際児童図書展エルバ賞を2年連続受賞。『いもとようこうたの絵本Ⅰ』で同グラフィック賞受賞。その他、『いもとようこの あかちゃんえほん』『子どもとお母さんのためのお話』『子どもとお母さんのための童謡』(いずれも講談社)、「大人になっても忘れたくない いもとようこ名作絵本」シリーズ(金の星社)など、多くの作品がある。フランスや中国など海外からの評価も高まっている。