読んですっきり、笑いもたっぷり、伝説の痛快ミステリー!
資産家の娘が誘拐された。追跡していた北多摩署は、相模湖で犯人を取り逃がし4億円を奪われてしまう。相馬刑事の逆襲なるか!?
≪担当編集者コメント≫
大らかで楽しいことを考えるのが好き、権威や曲がったことは大嫌い。ウナギと焼酎とカラオケとダジャレを愛した太田蘭三さんは、戦後の貸本時代から活躍してこられた息の長い作家でした。豪放磊落なご本人を投影したような釣部渓三郎が登場する一連のシリーズは、ユーモアたっぷりのミステリーで長らく人気を博しています。釣部の飲み仲間の北多摩署の蟹沢(カ二さん)・相馬(ウマさん)両刑事が、上司の嫌みを聞き流し、組織をはみだして独自捜査に走るのも痛快です。 独特の観察眼を持ち、取材先での発見も大切にされていました。タイトルの口唇紋とは、銀行強盗が逃走するときに、銀行の支店のガラスドアにぶつかって残した口紅の痕のことです。
小説ってこんなに自由で楽しくていいんだ、と実感できる警察小説です。4億円の身代金ごと誘拐犯を取り逃してしまう署の大失態を、カニさんとウマさんがどう取り戻していくのか? 読むとすっきりすること間違いなし。どうぞ、お楽しみください。
――――――講談社文庫出版部 野村吉克
豪腕・熱血な主役刑事のイメージは、堤真一!?
漂流する小指、台場の白骨死体、そして……事件渦巻く東京湾! 舞台は海上、注目の作家が渾身の筆を振るう画期的警察小説。
≪担当編集者コメント≫
小説と同時刊行の「IN★POCKET」のエッセイで著者はこう書きました。「いままで誰も触れたことのない、新しい警察小説シリーズを作る。これが、企画の段階で担当の編集者やエージェント、そして筆者が最も意識したことだ。しかし、小説でもドラマでも警察モノは安定した人気を誇るジャンルだけに、もはや出尽くした感があった。刑事部による殺人捜査、公安部によるスパイ活動、警備部SPによるアクションモノ……。そんな中で、編集者が、水上警察とかどうでしょうとぽろりと口にした言葉が、新刊『波動 新東京水上警察』の全ての始まりだった。水上で起こる事件を綴った物語、ないことはないが、誰もが知るシリーズというと、海上保安庁や海上自衛隊モノばかりが浮かぶ。『水上警察モノ』はない。これはいける。絶対やりたい。書きたい――私の、作家の血が滾った瞬間だった」。
打ち合わせでの思いつき(ヒラメキ)が実際に小説になり、それがヒットしたなら、それ以上の僥倖は編集者としてありません。映像化にも最高の作品ですが、主役のイメージは堤真一です。ホントにそうなれば面白いな~~。
――――――講談社文庫出版部 高橋典彦
元暴力犯係の刑事の著者だからこそ書ける、警察組織の深い闇!
暴力犯係長を勤める葛城みずきが蝕まれていく、大阪の警察内部の金と欲の泥沼。女刑事はどこまで堕ちるのか? 衝撃の暗黒警察小説!
≪担当編集者コメント≫
著者の二上剛さんが『黒薔薇 刑事課強行犯係 神木恭子』でデビューしたのは66歳の時。遅咲きの新人ですが、刑事の現場体験を積み、人生のベテランの視点から紡がれる物語は重く深く、まさに新人離れした円熟の筆さばきでした。
第2作の『ダーク・リバー』も前作同様、警察組織の腐敗がこれでもかと徹底的に暴かれます。金と出世をめぐる人間の強欲に、主人公の女刑事・葛城みずきですら屈服し、振り回されていく。そして迎える驚愕の結末! 「事件を解決する過程よりも、事件の捜査を通して浮かび上がる問題点を書くことに関心がある」という二上さんにしかできない、掟破りともいうべき展開なのです。その根本にあるのは、二上さん自身の豊富な現場体験に裏付けされた圧倒的なリアリティと迫力です。加えて、自信を持って書かれた文章が説得力を生み、読者を惹きつけるのです。
「ベテラン新人」二上剛さんは今、読み出したら止まらない「暗黒警察小説」という新領域を切り開いています。この力作をどうかご一読ください!
――――――文芸第三出版部 都丸尚史