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2016.07.29

特集

インテリアの工夫で絶賛生活──発想一つで雑誌の世界を再現!

“幸せを実感できる暮らしと空間”を提案するインテリア雑誌「モダンリビング」のパブリッシャー(発行人)を務める下田結花さん。ウェブマガジン「ミモレ」で連載するコラムが、書籍になりました。今回、本書で紹介する109のアイデアの中から、7つをピックアップして紹介します。下田さんの発想は、すぐに実践できるものばかり。日々の「暮らし」が満たされるための、空間づくりやインテリアのヒントになります。

下田結花(しもだ・ゆか)
下田結花(しもだ・ゆか)

1959年4月5日生まれ。ハースト婦人画報社「モダンリビング」パブリッシャー(発行人)。旧・婦人画報社(現・ハースト婦人画報社)に入社。料理の書籍、マナー、メイク、着物の別冊などの編集を経て、雑誌「ヴァンテーヌ」に14年間在籍。2003年より13年間「モダンリビング」編集長を務める。現在「モダンリビング」の全体を統括するとともに、ウェブサイトで発信。インテリアのプロから一般までを対象に、幅広くインテリアの講演・セミナーなども行っている。

インテリアは人生の一部なのです

4年前、10年ほど住んでいたマンションをリノベーションしました。家族2人で70m²。内装をすべて取り払い、キッチンもお風呂も場所を動かし、まったく違った空間になりました。整理し残ったのは、今まで使い続けてきた家具であり、身のまわりに置いていたものばかりでした。

30代より40代、そして50代になってますます、「今」という時間を大切にすることが生きること、と思うようになりました。過去を悔やんでも、未来を憂えても、問題は解決しません。それならば、この瞬間、笑顔でいることを考えよう──そう思えるようになったのです。

整った空間や美しいものがある自分にとっての心地よい空間は、その瞬間を支えてくれるものです。インテリアのショールームのようである必要はないし、家族が笑顔でいられるなら、部屋が散らかっていても構わないと思います。

私自身、いつもすっきり片付いた部屋ではありません。けれど、花を飾ること、ものの置き方を整えること、料理の盛りつけや器を新しくすること、そんな小さな部分を変えることで、日々の暮らしはリセットできます。

いつかやろうと思っているうちに、時間は過ぎていってしまいます。あなたとあなたの家族の幸せは、この「瞬間」にあるのです。

今いる場所で、今できることを──インテリアはあなたの人生の一部なのですから。

下田結花

アイデア1 インテリアは「3つ」あると塊になる

イタリアの別荘にあったモロッコのキャンドルスタンド。床置きのものは特に「大きめ」を選ぶと効果的です。

部屋の中にはいろいろなものがあって、ごちゃごちゃしがち。皆さん、悩みですよね。でも、同じものがたくさんあると、塊になってスッキリ見える! って、ご存じですか? 本や食器、保存瓶などもできるだけ同じ色や形のものをまとめて置くのが、インテリアをきれいに見せるコツ。ショップのディスプレイが整って見えるのは、ある程度の量があるからなのです。では、どれぐらいの量があればいいのか? ズバリ、最少は3つ、です。写真はキャンドルスタンド。大きなサイズは高さ50cmくらいありますが、それでも床に置くと周囲のものに埋もれてしまう。大中小と3つあると、どこに置いても存在感を発揮します。「塊」をつくりたいときは3つ集める、と覚えておきましょう。

アイデア2 ダイニングチェアはバラバラがいい

ヴィンテージの木のテーブルに、さまざまなデザインの椅子。「好きなもの」を集めた心地よさにあふれたダイニングです。設計/スタジオCY(サイ)(堀内 雪+堀内 犀)

お揃いの統一感は捨てがたいのですが、ダイニングチェアはバラバラのほうが、本当は実用的です。お父さんと子供、体型も身長も違うのに、同じ椅子で座り心地がいいわけはありませんよね。大人同士でも、ぴったり合うシートハイは微妙に違うもの。ですから、家族それぞれが座りやすい椅子をもつのが理想だと思うのです。そんなときのテーブルは、がっしりした木のテーブルがいいですね。どんな椅子も受け止めてくれますから。バラバラの椅子ではまとまりがなさすぎて……というときは、色を揃えてみましょう。木の色の椅子にするとか、デザインの違いの黒にするとか。この方法、価格のメリハリがつけられるので、予算が限られているときにもおすすめです。

アイデア3 本は置き方で美しくなる

世界的に著名な建築家でデザイナー、ピエロ・リッソーニのミラノの事務所で見たのは、美しい本の佇まいでした。シンプルな白い本棚に雑誌が入っています。縦と横、きちんと並べて、重ねて置かれた本。色もサイズもまちまちなのに、どうしてこんなにすっきりと見えるのでしょう? 理由はそれぞれの山が「ひと塊」になっているから。ぴしっと揃えられた角にも注目です。本が一冊一冊でなく、キューブのような塊になるとこんなふうに、整然とするのですね。これを可能にしているのは、人の手。触れる、整える、並べる。人の手が感じられるから、よけい美しいと思うのではないでしょうか。

アイデア4 日よけは、麻のシーツと洗濯ばさみ

麻の洗濯バサミはアルチヴァンドで購入。シーツはフォグリネンワークのもの。

外でお茶を飲みたくなる季節は、外カフェも好きですが、いちばん落ち着くのは自宅のベランダ。7階なので景色もいいのです。ただ問題は、午後まで日差しが強いこと。パラソルを置くほどのスペースもないし、と考えた末、麻のシーツと洗濯バサミでターフ(日よけ)を作ることに。洗濯紐に洗濯ばさみでシーツを留め、長めに手すりの外に垂らします。必要なときにパッと取りつけて、不要になったら外す。それが簡単にできるからいいのです。ただし、ビニールの洗濯紐やプラスチックの洗濯ばさみは避けましょう。麻のロープに木の洗濯ばさみ。自然のものは、なぜかやっぱり美しいのです。

アイデア5 鉢カバーは新聞紙と麻紐

あまりきちんと包まずに、ラフに紙を巻いてみましょう。細長く折って、2~3回巻くと形になりやすい。

ビニールポットに入った苗は、植木鉢に植え替えなくても楽しめます。陶器の鉢や器にビニールポットのまま入れて。ただし、穴があいていない器の場合は、中に水がたまってしまわないように気をつけましょう。でも適当な鉢がない場合もありますよね。そんなとき、私は新聞紙で包んで、麻紐でぐるっと巻いてしまいます。そのまま水やりできるように、底は紙で包まないのがコツ。ちょっとおしゃれにしたいなら英字新聞で。きれいな色の紙や雑誌のページでもいいですね。この方法、ポットの大きさを問わないのもいいところ。ビニールポットのまま置くのだけはやめましょう。それでは花が可哀想です。

アイデア6 トランク選びに欠かせない3つのこと

リモワのトランク。小さいほうは機内持ち込み用に。この組み合わせなら、2週間の海外取材もOKです。

休みの時期にトランクを新調しようという方も多いのでは? 実は数ヵ月前、10年以上使ったトランクを買い替えました。以前のトランク2個は、買った時期も違ったのでデザインもブランドも別々でした。そこで今回はこの3つをポイントに選びました。

1.荷物は自分で運ぶことが前提なので、とにかく軽いもの。

2.並べて置いたとき美しいように、お揃いで大小にする。

3.自宅に置いても悪目立ちしない色にする。

その結果、選んだのがこれ。リモワの64L(預け用)と42L(機内持ち込み用)のグレーです。大正解でした。インテリアになるものだから、家に置いたときの姿を想像することも大切です。

アイデア7 ちょっと大人な自家製レモネード

私が使っている保存瓶はMUJIのもの。並べたとき、美しいように3個一緒に購入。

最近、レモネードがマイブーム。カフェでの外お茶でも、自家製レモネードがメニューにあるとつい頼んでしまいます。そこで自分でも作ってみることにしました。自己流レシピですが……。レモン(できれば無農薬)をよく洗い、薄切りにします。保存瓶にレモンとローズマリー、はちみつをたっぷり入れて、そのまま冷蔵庫で1日置きます。ローズマリーを入れると、風味が増し、大人な味に仕上がります。グラスに氷とこのレモン汁とレモンのスライスをたっぷり入れて、ペリエで割っていただきます。レモンもそのまま食べられます。砂糖とレモン汁という作り方が一般的のようですが、このはちみつレモンローズマリー風味、リフレッシュにおすすめです。

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