春は、新生活が始まり、外にお弁当を持って出かけることが多くなる季節。そこで、忙しくても“楽しくおいしいお弁当”を作るコツを料理家・サルボ恭子さんに伺いました。フランス料理に精通しているサルボさんの定番弁当でもある、簡単なのにおしゃれでおいしい「パン弁当」も紹介します! ゴールデンウィークのお出かけのお供におすすめです!!
料理家。老舗旅館の長女として生まれ、料理家の叔母に師事したのち渡仏。パリ有数のホテル「オテル・ド・クリヨン」で研修するうち、フランスの郷土料理に魅了され、帰国後料理研究家のアシスタントを経て独立。自宅で料理教室を主宰。素材と向き合い、その持ち味を引き出す料理を得意とし、出張料理やケータリングで料理が最もおいしく味わえる“瞬間”を届けている。雑誌やテレビなどでも活躍し、洗練された家庭料理には根強いファンも多い。『毎日活躍! 「ストウブ」で和洋中』(講談社)など著書多数。http://www.kyokosalbot.com/
お弁当作りは頑張りすぎなくて大丈夫!
私の学生時代に母が作ってくれたお弁当は、7〜8種のおかずが必ず入っている豪華弁当。クラスメイトに「うらやましい」と言われるたび、ちょっとうれしい気分になり、私の自慢でした。
そして高校生になって同じ学校に通う妹と2人で暮らすことになりました。学校が家から遠かったのが理由です。食事とお弁当は私の担当でした。 母のお弁当を思い浮かべながら、見よう見まねでチャレンジしたのですが、朝、7〜8種のおかずを作るのは至難のワザ! 悪戦苦闘の毎日でした。 家庭を持ってからは人数も増えいっそう困難に。正直、重荷にも感じてきました。
そこで私は“楽しんでお弁当作りをしないとおいしいものはできない!”と心機一転。手早くできて、負担の少ない“がんばりすぎない”お弁当を考えました。そして試行錯誤ののちたどり着いたのが2つのルールでした。一つは、主菜の定番食材を決めて野菜多めの副菜バリエーションを考えること。 もう1つは、常備調味料を作りおきして味をいつも一定にすること。
主菜の定番食材を決めると買い物がラクになります。常備調味料があると悩まずに献立作りができ、夕食作りにも活躍するのでとても重宝します。
たったこれだけのルールで、一気にお弁当作りの負担がなくなり、めんどうくささも半減。以来このルールに改善を重ね、今ではバリエーションが数えきれないほどに広がりました。もし弁当作りで悩んでいたら、ぜひ私のやり方を試してください。「これならラク」と肩の力が抜けたら、お弁当作りが楽しくなりますよ。
バゲットサンド弁当
バゲットの厚みに切り込み入れ、ゆでたじゃがいもとコンビーフを混ぜた具をたっぷりはさんで! 簡単なのに食べごたえのあるボリューム満点のお弁当に。焼きリンゴとレーズンのデザートが良く合います。
バゲット 18cm
じゃがいも 1個
コンビーフ(缶詰) 40g
ロメインレタス 2枚
ナツメグ 小さじ1/8
塩、こしょう 各適量
お弁当は親から子へのメッセージの伝達役
ある日のお弁当
右が長男、左が長女用。長男はご飯だけを別にし、ハンバーグにはたれからませない。長女はご飯にふりかけをかけ、ハンバーグはたれをからませて彩りよく。
私のお弁当歴はかれこれ25年になります。私流のお弁当作りのルールを決めてからというもの、献立などで悩むことはほとんどありませんが、家族それぞれに好みやリクエストがあります。
わが家では夫と子どもたちのためのお弁当作りが日課。中学校は給食ですが、部活のときはお弁当持参です。しかし、子どもたちはそれぞれにこだわりがあり、同じおかずでも詰め方に一工夫が必要です。
長男はとにかく白いご飯が大好きなので、できるだけ炊きたてのご飯を詰め、ご飯におかずの汁がしみないよう別にします。長女は長男ほど白いご飯にこだわりませんが、ご飯におかずをのせていいのはメイン(主菜)のみ。副菜をのせるのはNGです。そして彩りのいいお弁当を喜ぶので、色みを考えながら詰めます。夫は仕事場にキッチンがあるので、温められるように小分けにしています。
長く続いた弁当作りですが、今では長男は高校を卒業して留学中、長女も春から大学生になったので、子どもたちのお弁当作りの使命は終了しました。 お弁当は親から子へのメッセージの伝達役にもなるもの。ぜひ、親の愛情をお弁当に詰めてあげてください。きっと子どもが親になったとき、気づくはずですから。