本学会では、2015年から「脳科学の達人」という市民公開講座を開催しています(巻末付録参照)。毎年、日本神経科学大会の最終日に、神経科学の第一線で活躍する新進気鋭の科学者が登壇し、自身の研究分野の背景から最新成果、そして未来への展望までを、一般の方にもわかりやすく語ります。講座は公開後にアーカイブ化され、YouTube(youtube.com/@日本神経科学大会 以下略)を通じてだれでも視聴できるようになっています。専門家向けの学術大会から、市民へ向けて研究の熱気を直接届ける場。それが「脳科学の達人」です。
章の冒頭には、研究者のユーモラスなイラストが添えられていて、いずれもつい微笑んでしまう可愛らしさ! おかげで肩の力も抜け、次の章へたどりつく楽しみもできた。内容を補足する図版も豊富にあり、そのつど読者の理解を助けてくれる。
ブレイン・デコーディング技術の応用例としては、ほかにも「BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)」が考えられます。BMIとは、脳の活動を読み取って、機械などを脳で直接操作する技術のことです。BMIを使えば、事故や病気などで体の一部が動かなくなった人が、脳で直接コンピューターや義肢などを操作することができます。
では、そうした研究を支えているものは何なのだろう。それは冒頭のあいさつの言葉(林(高木)朗子 理研CBSチームディレクター)に見て取れた。
本書を通して感じていただきたいのは、完成された知識の一覧ではありません。むしろ、科学がまさに進んでいる現場の熱気です。わからないことがあるからこそ、研究は始まります。予想と違う結果が出るからこそ、次の問いが生まれます。神経科学の歴史は、仮説を立て、実験し、ときに間違い、また考え直すことの連続です。科学的に考えるとは、すぐに答えを決めつけることではありません。不確かさを引き受けながら、少しずつ確かなものへ近づいていく態度のことです。
進路について考えている高校生はもちろん、脳科学の現在に興味がある方にもうってつけの本書。私たちの健康や生活にも深く関わる脳科学の今と未来を、存分に知ってほしい。








