デビュー作から連続ノミネート、三度目でついに戴冠!
選考会当日の待ち会でのこと。テーブルに置いていた小砂川さんの携帯が静かに震え、「はい」と電話に出たその顔がなぜか少しずつ青ざめていきます。受賞なら笑顔がこぼれるはず、惜しくも……と周囲の編集者がハラハラと聞き耳をたてる中、小砂川さんは左手の指で輪っかを作り私たちにOKサインを見せてくれました。「受賞=記者会見で人前に立つ、という現実が頭を過り逃げ出したくなっていた」そうです。歓びと同時に同量で不安になる。相反する気持ちを絶妙なバランスで持ち合わせている著者だからこそ、人間の複雑で幅広い感情を精緻に拾い集めて物語に紡げるのだと、改めて感じた出来事でした。
芥川賞の選考委員からは「新しい虚構世界をスピード感のある文体と強い意志で徹底的に立ち上げ、自立させた」とその力を高く評価されました。さて本書にはどんな世界が広がっているのか? 登場する「ゾンビ回収婦」とは一体何者なのか? ぜひ手にとってお確かめください。
――文芸第一単行本編集チーム N.K.







