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2025.02.02

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芥川賞作家の原点! 不条理な可笑しみに彩られたデビュー作!

昨夏『バリ山行』で芥川賞を受賞した松永K三蔵さん。本書はそのデビュー作を単行本化したものです。

主人公は神戸の物流倉庫に勤務する高見(たかみ)。新倉庫建設の工程管理を任されたものの、建設予定地の隣りに住む亀夫(かめお)という犬連れの男によるクレームのため、建設は思うように進まず。現場と本社命令の板挟みになりながら奔走するサラリーマンの悲哀が滲みます。

本作は2021年の群像新人文学賞に選出された作品ですが、当選作ではなく、次点である優秀作だったため、受賞当時は雑誌掲載のみ。3年の時を経て、紆余曲折「バリ」をしながらようやく単行本として刊行されました。仕事のままならなさを著者独特のユーモアで描く『カメオ』は、松永さんが芥川賞受賞会見などでもお話しされていた「オモロイ純文運動」の原点でもあります。

不条理をオモロく、そして疾走感をもって突き進んでゆく『カメオ』にもぜひご注目ください。

──群像編集チーム S.N.

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