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2026.08.08

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発達障害の子どもの「できる!」を増やして、自立を後押しする声かけ・接し方

尽きない親の不安への確かな処方箋

発達障害の子どもを育てる親御さんや家族の不安を考えると、胸がぎゅーっと締め付けられる。文部科学省が令和4年に行った「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」によると、「学習面又は行動面で著しい困難を示す」とされた小中学校の児童は約8.8%。およそ11人に1人に発達障害の可能性があるとされる。もちろん発達障害には特性や程度がさまざまあり、発達障害という言葉で一括りにすることはできない。昨今は、その子どもたちの個性として認識することも、学校を中心に広く浸透してきている——。にしても、不安になるのが親ではないだろうか。
「わが子は、将来きちんと自立して社会生活を送ることができるようになるのだろうか?」
「わが子の特性ゆえに、なにか危険な目に遭うことはないだろうか?」

本書は、そんな親の不安を解消する “手がかり”になることを目指して書かれている。
まず目指してほしい大切な目標を2つ提案させてください。ひとつは、「子どもが安心して過ごせる生活環境をつくること」です。とくに家庭や教室を、子どもにとって居心地のよい場、〈信頼できる大人に見守られている〉と感じられる場にしてほしいと願います。もうひとつは、「自信を持って社会へと出ていけるように、準備していくこと」です。具体的には、家庭や教室などで「自尊感情」(第1章を参照)を育みながら、社会で暮らす「生活者」としての実践力を身につけてもらえるよう努めることです。
不安を解消するには、わが子に「できる!」と思わせる行動を増やしていくことが「自尊感情」を育む着実な道。そのための具体的な子どもの導き方を、本書は詳細に教えてくれる。また親だけでなく学校の先生にむけて、発達障害を抱える子どもたちを導く方法にも多くのページが割かれている。

自尊感情を育てるペアレント・トレーニング

本書の第1章「子どもの自立を後押しする」では、まず「いかに子どもの自尊感情を育てるか?」について書かれている。では、そもそも「自尊感情」とはどんなものか? なんとなくは分かっているものの、これをきちんと言語化できるかどうかで、親が取りうる対応は大きく変わってくるものだ。
著者が提示する「目指してほしい大切な目標」の2つは、この社会的自尊感情と基本的自尊感情を育てることの土台となる。さらに、ここから「ABC分析」や「トークンエコノミー」といった実際的な対応方法が紹介されるのだが、なかでも大切なのが「ペアレント・トレーニング」と呼ばれる療育プログラム。子どもの行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「許しがたい行動」に分類し、親が適切に対応する。こう説明するとややこしそうに思えるが、理解するのは非常に簡単。
イラスト:野波ツナ
それぞれの対応についても具体的な指示がある。
親が子どもに指示を出すときは、苛立ちや怒りといった感情を抑え、穏やかに(C:Calm)、子どもに近づいて(C:Close)、落ち着いた静かな声で(Q:Quiet)、わかりやすい指示を出します。3つの頭文字をとって「CCQ」と呼ばれるこの工夫は、ペアトレの基本です。
そうは言われても、親も人間。子どもの行動に、感情を抑えて語りかけるのは難しい。感情を抑えたつもりでも、漏れ出るイライラ。しかも、同じようなことを繰り返すのが子ども……。しかし、好ましくない行動が繰り返されるのであれば、そこから「学ぶ」ことにおいて、親の方が“一日の長”があるはず。ペアレント・トレーニングを我がものとして、子どもの(ほんの、ほんの)少しの成長に喜びを見出すことができれば、不安に満ちた世界からの出口を見つけられるはず。
もちろん、どんな親でも最初から完璧にはできない。でも、理想形を目指す意識を持ち続ける。今、その入り口に立っている親御さんには、この本の要点ごとにまとめられている「✕やめておこう」という項目だけでも守るといいのではないかと思う。
ここからスタートすれば、親が取るべき次なる行動が見えてくるはず。

さらに本書では、「好ましい行動」を増やす(第2章)、家庭や学校での日常生活を整える(第3章)、社会のなかでできることを増やす(第4章)、性被害から子どもを守る(第5章)と、環境を広げながら子どもの「できる!」を増やす方法が示される。そのなかで、スマホやタブレット、パソコンといったデジタルデバイスを有効に使って、子どもを導く方法がさまざま紹介されている。発達障害を抱える子どもに限らず、“デジタルデバイスをいかに使わせるか?”は悩ましい問題だけれど、管理・規制で縛るのではなく、前向きに使っていく姿勢は「なるほど」と思わせるところが多かった。是非、参考にされたし。

レビュアー

嶋津善之

関西出身、映画・漫画・小説から投資・不動産・テック系まで、なんでも対応するライター兼、編集者。座右の銘は「終わらない仕事はない」。

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