子どもの「できた!」が増える
『感覚統合✕モンテッソーリの視点で伸びる! 発達が気になる小学生の学校生活&おうち学習ガイド』は、そんなお子さんと家族に向けた手引書です。どのページにも「そういうことか!」「これならできそう!」という驚きと納得があります。
著者のりっきーさんは、モンテッソーリ教師で保育士、自閉スペクトラムとADHD診断のある小6の長男と小2の次男の子育て中。育児書通りにいかない子育てに悩み、なかなか支援にたどり着かない中で、自ら学ぶことで幼児教育と発達支援の道に足を踏み入れました。
本書は、モンテッソーリ教育の環境設定(物の配置、道具の選び方などの「物的環境」や大人の関わり方などの「人的環境」)や、発達支援の環境調整(特性を踏まえ、可視化や仕組み化をすること)の考え方をベースに、発達の土台となる感覚統合の視点を取り入れて困りごとに寄り添う一冊です。
ひとことで「小学生時代」と言ってもその期間は6年間と長く、子どもの心身が著しく成長する時期でもあります。
この本は、未就学児の発達や、就学に関する相談先から、入学後の「忘れものをしてしまう」「お友達との距離感が難しい」などの問題、苦手科目の学習補助や高学年で直面するSNS問題など、未就学〜小学生の子どもがぶつかる悩みごとを幅広く網羅しています。
発達障害、グレーゾーンの子どものいる家庭が直面するお悩み、困りごとを乗り越えるための多角的な支援となる一冊です。
困った子は「困っている子」
しかし、本書で繰り返し語られるのは、彼らは「困った子」ではなく「困っている子」だということ。りっきーさんは言います。
表面上に見えている姿だけではなく、背景にある「なぜ?」を知って関わる必要があります。
本書では学校生活や日常生活において「どんなときに、どんなトラブルが予見されるか」がすぐに分かるようになっています。
たとえば「給食当番がうまくできない」子は、何が苦手で、どう感じているかがわかるのがこのページです。
それを踏まえた「短期的サポート」がこちらです。
子どもの「将来の自立」を踏まえ、長い目で見た支援も。こちらは自宅での日々の生活の中で、身体感覚を養う取り組みです。
「できない」の背景にあるものを知る
本人以外にはわからない「子どもに起きている問題」を、りっきーさんの学びと観察眼が的確に切り分け、家庭でできる解決のための取り組みに落とし込んだのが本書です。
子どもの「できない」の影にある様々な理由を知ることも、親の「どうして?」「ちゃんとして!」というイライラを減らし、余裕を生む「支援」のひとつだと感じました。