ファスティングをしたら体重が減った、という評判を耳にしたことがあるかもしれませんが、「痩せる」だけではなく「エネルギーの使い方を切り替える」という結果がいかに重要であるかを、本書は丁寧に説いていきます。これは、著者がダイエット専門家ではなく、生命科学者の教授として研究を重ねている立場であることも少なからず関係していると思います。
まずは仕組みを理解してから実践! 「わかってからやる」ことでモチベもUP
食べない時間を作る=体重増加の要因となる食料が供給されずに結果として体重が減る、という単純な話ではありません。様々な臓器や細胞が連動し、体内では大きな変化が起こっており、体重減少はその結果のひとつに過ぎないのです。
こうした構造を理解させたうえで、具体的な実践方法を記しているのですから、読者のモチベーションも上がるというもの。勉強やスポーツでもそうですが、その学習やトレーニングが何に役立つのかを知らずに行うのと、理解して行うのではやる気、あるいは継続性にも大きく影響するでしょう。
アルツハイマーも予防できる!? 「痩せる」だけじゃない大きなメリット
いくつか箇条書きで紹介すると……
◎代謝と免疫力がアップする
◎腸内環境が整う
◎不調のリスクとなる体内時計の乱れをリセットする
◎アンチエイジング
なかでも、個人的に強い興味を持ったのが、「細胞内でオートファジー(自己浄化機能)が活性化する」。オートファジーは「『細胞内のリサイクル工場』であり、同時に『有害物質の処理場』」です。
細胞の中には、日々、古くなったタンパク質や、機能が壊れて活性酸素を撒き散らすようになったミトコンドリアなどの「粗大ゴミ」が溜まっていきます。蓄積されたゴミを分解して掃除し、細胞の品質を保つと同時に、分解されたものを新しいタンパク質の材料やエネルギー源として再利用する。
これが何を引き起こすのか。細胞内にゴミがたまり、品質が低下し、老化現象も加速。さらにその影響は認知機能の低下にまで及びます。アルツハイマー型認知症は、異常なタンパク質が適切に処理されずに脳に蓄積されることが要因のひとつとされています。オートファジーが働くことで、こうしたゴミもきちんと処理され、結果としてアルツハイマー型認知症の予防へとつながるのです。
私は暴飲暴食タイプではないのですが、チョコレートだけはドカ食いしてしまいます。本書を読んでまっさきに思ったのが、「オートファジーに働いてもらわねば!」「そのためにも空腹時間を作らねば!」ということでした。
ちなみに、ファスティングには様々なパターンがあり、手軽なところでは「16時間ファスティング」というものがあります。朝食、あるいは夕食を抜けばそこまで無理なく16時間、食べない時間が作れるので、最初の一歩として試してみると良いかもしれません。
今回、レビューを執筆するにあたり、一週間のうち4日ほど16時間ファスティングをやってみました。体重変化はこんな感じ。
実施前:62.2kg
3日目:62.0kg
5日目:61.6kg
7日目:61.5kg
少しでも減る、というのは嬉しいことでして。「痩せる」以外の目に見えない変化も、きっと生じているはず……!
首がもげるほど頷く! 経験者なら共感度200%の “ある感覚”
私は数年前に準備食→1日断食→回復食、というサイクルのファスティングを行いました。本書にある、途中で頭痛が発生、断食中でも塩(岩塩)は摂取、といった経験もしましたが、何より共感するのが「『回復食』として食べる、昆布だしと梅干の三分粥の美味しいこと!」「食事ができていることへの感動などさまざまな思いが溢れてきて、涙が滲んだことも何度もある」という記述。私は当時、回復食として少量の海苔の佃煮を乗せたお粥を食べたのですが、世の中にこれほど美味しいものはない! 「食べる」とはなんて尊い行為なのか!と思うほどの感動に包まれた記憶があります(たった1日の断食ですが、オーバーでなくホントにこのレベルの感動がありました)。
ファスティングの醍醐味のひとつは、回復食の感動を味わうこと、とすら思います。他にも、著者自身の“しくじり体験”も紹介しており、まさに反面教師として良い教材です。
家族や友人との時間、そして音楽、漫画などの趣味……まだまだやりたいことはたくさんあります。「食べない」ことで得られる力を記した本書を読んで、ファスティングを上手に活用しつつ、体内をクリアにして(体重も適度に減らして)、この先の人生をしっかり楽しめる体を作ろうと、強く思いました。








