PICK UP

2026.01.16

レビュー

New

「絶対にがんばらないでください」肥満外来の名医が教える科学的ダイエット

ですから、私のクリニックで診察する患者さんには、まずは「がんばらないこと、そして我慢をしないこと。ここから始めましょう」とお伝えしています。運動は嫌いならしなくていい。無理はせず、ストレスのない範囲でライフスタイルを見直し、徐々に慣れていくイメージを持っていただければ十分です。
しかし、「時間がないから」と極端なダイエットに取り組んだり、「気合で何とかしよう」とやる気や根性に頼ったりする人が後を絶ちません。こうしたダイエットは、長時間労働で無理を重ねてしまう働き方とよく似ています。最初は成果が出たように見えても、やがて体調を崩したり、リバウンドを繰り返したりして、負のサイクルに陥ってしまうのです。
私は、「がんばるダイエット」は、心身をすり減らしてしまう“ブラック企業”での働き方に似ているなと思っています。

健康寿命を延ばし、幸せの多い人生を送るためのダイエット本

趣味はダイエット。
特技はリバウンド。

中年を過ぎたころから、ときおり自己紹介するタイミングで自虐的にこのようなフレーズを発してきた私にとって、上記は耳が痛いことこの上ない一節だった。

実際、30代前半から50歳の現在に至るまで、私は3~4回ほど短期間で大幅に体重を落とすダイエット(3ヵ月で15㎏~20㎏レベル)を敢行し、そのたびにまた数年かけて元に戻ってきた。どころか、元の体重を超えるところまで増えてしまうことも珍しくなかった。今はまさに「戻った」タイミングで、この本に出会っている。

著者の髙倉一樹氏は、横浜市の元町で「UnMed Clinic Motomachi」というクリニックの院長を務める内科医だ。これまで2000人近くの肥満患者の診療に携わってきた経験から「まったく同じ治療をしていてもスムーズに減量できる人と、なかなか効果が出ない人がいる」ことに気づく。その違いを分析していく中で辿り着いたのが、この本で提唱する「がんばらないダイエット」であると語る。

本書で一貫して強調されているのは「肥満は心身のバランスが崩れている結果が体に現れているものであり、過度な食事制限や運動では根本的な解決には至らない」ということ。「しっかり寝る。適度に食べる。そして気持ちも少しだけ調整する」。そんな生活習慣を手にするだけで、本当に少しずつ、体重も落ちていくという。

まず本書の序章にて「しっかり寝る(6時間以上)」「きちんと食べる」(一日3食+必要に応じておやつ)「ちゃんとストレス発散をする」(できるだけこまめに)という基本的な習慣の大切さを提唱。その上で、絶対に失敗しない、体重を整えるための「3つの小さなアクション」を紹介している。

それは(1)1分間の「瞑想」(2)1分間の「ストレッチ・体操」(3)1分間の「好きなものタイム」の3つ。時間的な制約も、心身にかかる負荷もほとんどない。たしかに極めて簡易な取り組みであり、仕事の合間やちょっとした休憩時に誰でもできるアクションだ。

本書ではこのような、無理なく日常に組み込める「マイクロアクション」が、ダイエットの減量期における主要なステップごとに紹介されている。

第1章では肥満が仕事や健康、人生に及ぼすさまざまなリスクについて紹介。体重を整えるべき理由を明らかにしている。そこから第2章~第5章では、食欲・運動・睡眠・ストレスをいかに調整し、対処すればいいかを具体的なスキルと共に解説されている。その内容の一例を以下に挙げるが、以下のように極めて実現が容易な対処法ばかりである。

【食欲攻略】
・ガムを噛む――食欲の分散処理
・屋外でランチする――幸せホルモンを味方に付ける
・「推しの動画」を1本観る――空腹は感情からも生まれる

【脂肪を燃やす】
・深呼吸する――自律神経を整え代謝スイッチを入れる
・水を飲む――代謝を促進する重要な要素
・1日1分の筋トレ――脂肪は減らしても筋肉は減らさない

【リバウンド防止】
・月1㎏ペースでやせる――代謝やホルモンバランスへの負担を最小限に
・6時間以上の睡眠――食欲暴走を抑止する

筋トレ、1日1分でいいのか……とか思いながら過去の自分を省みると「ダイエットをがんばっていた時期」は週3でジムに通い、筋トレを含めた激しめの運動を1時間近くやってきていたくせに、その時期を超えるとその「1分」すらやらなくなっていたことに気づかされる。

さらに第6章「『メディカルダイエット』という選択肢」で、これらの「小さな一歩」を続けられない人に対して「治療薬で整える」という方法を提示。従来は2型糖尿病の治療薬として使われてきた「GLP-1」などの薬剤を使った治療法を、実行した患者の体験記と共に紹介している。この「GLP-1」については私も存在は知っていたが、その効能の詳細や体験者の声は初めて触れたので、さらに興味は湧いてきた。

特に、本書の中で私にもっとも刺さったのは、以下の一節である。
リバウンドしてしまうのは、あなたの継続意識が弱いからでも、自己管理能力が低いからでもありません。問題は、そもそも無理なやせ方そのものにあります。極端な方法で表面上やせることができたとしても、身体の中ではコルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが沸々と湧き上がっており、いずれ爆発してストレス食いの原因となり、基礎代謝を落とし、結果的に太りやすい身体になってしまいます。それが、リバウンドの仕組みの本質なのです。
この一節の入っているのは第4章「リバウンドを防ぐ」。その最初の大見出しは「維持期こそが真のスタートライン」である。

過去にダイエット本や糖質制限本の制作に幾度となく携わってきて、そのたびに(自身ではそこまで無理をしているつもりはなかったが)無理なダイエットを実行して一時的には成功し、そこから数年かけてきっちりリバウンドする、ということを繰り返してきた私。結局、自分は、すべくしてリバウンドしていたんだなぁと。

この本の内容をものすごくざっくりと要約すると、ダイエットに必要なのは「ストレス管理も含めて生活習慣をできるだけ整えること」と「運動よりも食事。IN/OUTのINをまずは見直すこと」の2つに集約されるように思えた。この本には、その2つを実現するための、まさに誰でも実行可能な「マイクロアクション」が数多く詰め込まれている。

いよいよ年齢も重ね、健康リスクを考えると一刻の猶予もない状況でこの本に出会ったことを僥倖とできるよう、日々「小さな一歩」を積み重ねていきたいと思う。

レビュアー

奥津圭介

編集者/ライター。1975年生まれ。一橋大学法学部卒。某損害保険会社勤務を経て、フリーランス・ライターとして独立。ビジネス書、実用書から野球関連の単行本、マンガ・映画の公式ガイドなどを中心に編集・執筆。著書に『中間管理録トネガワの悪魔的人生相談』『マンガでわかるビジネス統計超入門』(講談社刊)。

こちらもおすすめ

おすすめの記事

レビュー

くびれに腹筋運動は不要です。くびれは食事から! ウエストを太くする食材とは?

  • 料理
  • 美容
  • Micha

レビュー

「趣味はダイエット、特技はリバウンド」という方へ! モチベーションアップのコツ

  • コラム
  • 中野亜希

レビュー

自炊より断然痩せる! コンビニオーナーが3食コンビニ飯で63キロ痩せた方法

  • コラム
  • 中野亜希

最新情報を受け取る

講談社製品の情報をSNSでも発信中

コミックの最新情報をGET

書籍の最新情報をGET