「好きなものを好き」と言える暮らし
もちろんそれも素敵です(私も永遠に憧れています!)。
けれど『パリの幸せおこもり暮らし』を読み終えたいま、心に残っているのは少し違う価値観でした。
本書を読みながら、「好きなものを集めてもいいじゃない」「色やテイストが揃っていなくてもいいじゃない」と、井筒麻三子(Mamiko)さんにそっと背中を押してもらえたような気がしたのです。
お気に入りを少しずつ集めていく。
好きだから飾る。
好きだから使う。
好きだから作る。
そんな当たり前のことを、改めて肯定してくれる一冊でした。
パリ本ではなく、“ご機嫌な暮らし方の本”
YouTubeチャンネル「GOROGORO KITCHEN」では、パリというおしゃれな街の空気を届け、多くの人を魅了しています。本書は、そこで時折見えていた“おこもり暮らし”をさらに深掘りした一冊です。
人によっては「パリの無駄遣い」にしか見えないかもしれません。でも私にとっては、この「パリなのに家に引きこもっている」という暮らしが、一番自分に合っている気がしています。
そうした暮らしの工夫を惜しみなく紹介してくれるだけでなく、夫のYasさんによる美しい写真と、Mamikoさんの可愛らしいイラストが随所に添えられ、ページをめくる時間そのものが心地よいものになっています。
酢漬けなどの保存食や、納豆や味噌といった発酵食品まで手づくりしてしまうMamikoさん。その食への探究心は、「おいしい」を追求することにまっすぐ向いています。
読んでいるうちに、「あれ、Mamikoさんって日本に住んでいるんだっけ?」と思ってしまうほど、いわゆる“海外暮らし感”がありません。
海外暮らしだからと無理に現地の食文化へ寄せるのではなく、自分が食べたいものを作り、自分が心地よい暮らしを選んでいる。
「どこに住むか」よりも、「どう暮らすか」。
そんなフラットな価値観も、本書の大きな魅力だと感じました。
とはいえ、本書からパリらしさが消えているわけではありません。
お気に入りの器を蚤の市で見つけた話や、とっておきの雑貨店やレストランの紹介など、暮らしの合間にふと現れるパリの風景がとても魅力的なのです。
観光ガイドのように華やかな「パリ!」ではなく、暮らしの背景に自然と溶け込んでいるパリ。
だからこそ、「いつかこのお店に行ってみたい」「こんな街を歩いてみたい」という憧れも静かに膨らんでいきます。
丁寧な暮らしなのに、息苦しくない
一見すると「丁寧な暮らし」の本に見えるかもしれません。けれど、不思議と息苦しさがありません。それはきっと、Mamikoさん自身が本当にこの暮らしを楽しんでいるから。
美味しいものを長く楽しみたいから保存食を作る。
お気に入りの空間で過ごしたいから整える。
そこには「やらなきゃ」という義務感がなく、「好きだからやる」があります。
だから読んでいるこちらも、「ちゃんとしなきゃ」と焦るのではなく、「これなら私もやってみたい」と自然に思えてくるのです。
そして実際、どれも日本にいる私たちの方がむしろ真似しやすいことばかり
(私はサラシの有能さにびっくりして、早速ポチッと購入しました!)。
本書が教えてくれるのは、とてもシンプルなこと。
自分が心地よければいい。
好きなものを食べて。
好きなものに囲まれて。
自分の機嫌を自分で取る。
そんな暮らしの積み重ねが、幸せにつながっていくのだと思います。
そして最後に、心から言いたい。
おこもり最高〜!!








