子どもとおとなのための西洋絵画入門
『かいぶつ美術館 イラストとマンガでわかる西洋絵画入門』は、子どものための西洋美術入門書だ。西洋絵画を好きになる仕掛けがたくさん盛り込まれている。著者は作家でイラストレーターの杉全美帆子さん。美術がより楽しくなるような知識を、マンガやイラストで楽しく解説してくれる。美術愛がいっぱいの本で、おとなにもおすすめしたい。
本書の主役は「かいぶつ」。私たちがゲームやマンガやファンタジー作品で遭遇する「ドラゴン」「悪魔(サタン)」「メデューサ」「セイレーン」といったキャラクターは、西洋絵画でも描かれてきた。
ドラゴンといえば勇者、勇者といえばバトル
各作品の隣ページに続く解説で、その絵がどんな作品であるかを学べる。
本書は、名画の美術的な見どころや、聖書や神話の物語をやさしい言葉とイラストで解説する。これが私にはとてもありがたかった。というのも、西洋絵画を見ると「なんか、いろいろやってるな……」とアヤフヤな感想になりがちなのだ。数年前にバチカンでミケランジェロの『最後の審判』を見たときも「すっごい大勢で、いろいろやってるな……」とアヤフヤなまま圧倒された。本書は、その「いろいろやってる」の「いろいろ」を楽しく教えてくれた。
先ほど紹介した『ヘラクレスとヒュドラ』なら、ヘラクレスのかぶり物が個人的に気になる。ちょっとムササビっぽいがライオンのようだし、そもそもヘラクレスはナゼこれをチョイスしたのかな……と。
そんな私のアヤフヤな感想に寄り添うようなマンガも本作には収められている。『ヘラクレスとヒュドラ』は、ギリシャ神話の物語だ。
かいぶつがよく描かれる西洋美術、あまり描かれない西洋美術
たとえば西洋美術や西洋史でよく耳にする「ルネサンス」は、世界史をひもときつつ、代表作と杉全さんのイラストとともに、どういう運動であったかが解説される。
そしてルネサンスから先の19〜20世紀の西洋絵画史も楽しく学べる。本書は、よく西洋美術の展覧会で耳にする「なんとか主義」を、じつに本書らしい視点で整理する。
ちょっと堅苦しく思われがちな西洋絵画だが、本書でそのルーツをたどると、豊かでやわらかな魅力がいっぱいだとわかる。神話や聖書、歴史の知識とともに、美術館へといざなってくれる愉快な本だ。きっと「私の好きな絵」も見つかるはずだ。








