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2026.05.25

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【大人のADHD】仕事も!家庭も!恋愛も! 対人関係がうまくいくためのコツを伝授

人間関係にヒビを入れないために

対人関係はだれにとっても難しいものだけど、ADHD(注意欠如・多動症)の傾向を持つ人にとって、その難易度は一段階上がる。無意識に近い言動が対人トラブルにつながることに、心がすり減るような疲れを感じることもあるだろう。対人関係はほかの苦手なことのように、「誰かに代わってもらう」わけにいかないのもつらいところだ。
そんな人にこそおすすめしたいのが、『大人のADHD 「対人関係」マネジメント』だ。本書はADHDの特性を持つ人が、対人関係のトラブルを未然に防ぐためのコツを教えてくれる。たとえば、
「自分は少しものの言い方が強いようだ」とか、「いつも真っ先に文句を言っている」といったことに気づけば、「自分が言わなくても、誰かが後で言うだろう」と考えられるかもしれません。それだけでもトラブルを回避できます。
というように、人間関係にヒビを入れないために「ADHDの特性を踏まえて」「どう振る舞えばいいのか」がわかる一冊となっている。

特性は「脳のクセ」のようなもの

約束を忘れる、遅刻、ミス、イライラしやすいなど、ADHDの特性は、脳の機能のアンバランスによると考えられています。(中略)
いわば、脳のクセのようなものです。
ADHDの特性、つまり「脳のクセ」が引き起こす言動は、対人関係のトラブルに直結するものが多い。
「すぐカッとなる」「思ったことを口にしないと気が済まなくて、人の話をさえぎってしまう」など、対人関係におけるADHDの特性の現れ方は、社会で求められるいわゆる「大人げ」と真逆なものも多い。
こうした特性ゆえに、本人は無意識の自然な振る舞いであっても、周囲には「悪意がある」「自己中心的だ」と何倍も悪く変換して受け取られてしまうため、本人が気づかないうちに決定的なトラブルの火種が生まれてしまうのだ。
片付けが苦手なことも、周囲には「苦手」ではなく「だらしない」と受け取られてしまうように、さまざまな失敗が自己責任とみなされがちなのもつらい。年を重ねるごとに面と向かって叱ってくれる人は減っていく。友人に失礼な言動をしてしまっても、気を使って本当の理由を教えてもらえないまま疎遠にされたり、スパッと関係を切られてしまうこともあるだろう。

しかしADHDの人は特性による苦手分野があるだけで、理解力が劣っているわけではない。「なぜ人を怒らせてしまったのか」「自分の振る舞いがどう見えていたのか」が理解できれば具体的な解決策へとスムーズに向き合うことができるはずだ。

たとえば、ついカッとなってしまったとき。
カッとなってもとにかく止まること。頭の中で「止まれ!」と自分に命令し、3秒、爆発を止めます。
「とにかく3秒我慢する」だけでも大半の失敗は防げそうだが、本書はさらに「きれいなゴムを手首につけておき、パチンとはじく」「アクセサリーに触る」など、「衝動から意識をそらす」やり方も一緒に書かれているのがいい。メソッドがシンプルであればそれだけ対策しやすくなるし、成功体験を積む機会が増えるほど、対人関係への苦手意識を軽減していけるだろう。

パターンをつかんで自分にも優しく

本書ではたびたび、ADHDの特性を持つ人の心や体の疲れについても言及される。
ADHDの人の多くは、周囲に合わせることができないわけではありません。けれども、刺激に反応しやすいため、感情をコントロールしたり、失言しないよう緊張していたりして、一日が終わるころにはヘトヘトになっています。
緊張感による疲れやペースを乱されることによる焦りも「怒りのもと」となり、対人関係の火種になりうる。
家庭内トラブルの「ありがちなパターン」を見ても、疲れや我慢という心身の疲れが対人関係に影響することがわかる。「自分は疲れやすいと自覚して、心身を休ませましょう」「合わない人とは距離を取りましょう」。本書はADHDの特性を持つ人に努力を促すだけでなく、自分に優しくすることでもトラブルを防げると教えてくれる。

予測不可能なコミュニケーションの中で常に本書のメソッドを意識して実行するには、集中力と訓練が求められるかもしれない。 本書は「読めばすぐに人間関係が改善する魔法の杖」ではなく、「もう失敗しないように理想のフォームを身につける筋トレのメニュー」に近い。頭で理解することと実際の場面で体現できることの間には確かに壁があるが、「正しいフォーム」を知るメリットは大きい。

「特性を乗り越えて対人関係を改善したい」とこの本を手に取ること自体が素晴らしく、失敗しても自分を責める必要はない。本書にはそんなメッセージも込められていると感じる。
本書は気になるところから読める構成になっており、ADHDの「退屈が苦手」「気になったことはどんどん先に進みたい」という特性にもぴったり寄り添っていると感じた。また、周囲の人にとっても、「約束をすっぽかしたのにヘラヘラ笑っている」など、ADHDによく見られる言動の理由を知ることで、理不尽なストレスが軽減されるかもしれない。誰にとっても、人間関係の良き橋渡しになってくれるだろう。
イラスト:小野寺美恵

レビュアー

中野亜希

ガジェットと犬と編み物が好きなライター。読書は旅だと思ってます。

X(旧twitter):@752019

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