全3部構成のうち、第1部では欧米人と日本人の体質の違いや健康法が、第2部では糖尿病や高血圧など生活習慣病に関する新常識が、そして「がん予防のための新常識」と銘打たれた第3部では、日本人に多い大腸がん、胃がん、乳がんをテーマとして取り上げられている。なお今回のアップデートにより、第2部ではアレルギー疾患と認知症が、第3部ではすい臓がんが、新たに章を設け書き加えられた。
著者は京都大学大学院医学研究科を修了した内科医で、予防医学の理念に惹かれたことを機に、健診や人間ドッグの現場において、実に30万人近くの診療にあたってきた。現在は産業医を務めるかたわら、多数の著書も手がけている。
人種による体質の違い
病気の発生にかかわる体質にも、遺伝子によって決まり、基本的に一生変わらない部分と、生活環境やストレス、食生活や運動などの生活習慣によって変わる部分があり、日常生活においては、これらをひっくるめて、ばくぜんと「体質」と呼んでいます。そのため本書でも、「遺伝的素因と環境要因との相互作用によって形成される、その人の体がもつ性質と特徴」を体質と考えることにします。
体質は持って生まれた遺伝子を基礎として、食生活や生活習慣の影響を受けてできています。一人ひとりの体質もあれば、日本人に共通する体質もあり、もっと大きくアジア人の体質もあります。世界の人が、それぞれ独自の体質を身につけてきたなかで、とりわけ日本は、青い海という自然の境界で他国と隔てられ、他の人種と交わる機会が多くありませんでした。
(中略)体質が異なれば、病気のなりやすさや発症のしかたも変わるため、日頃の健康法や病気の予防法、そして治療法も同じというわけにはいきません。
日本人の体質を知る
やっかいなのは、日本人を含む東アジア人は、ただでさえ内臓脂肪がつきやすいことです。この傾向は男性に強く、欧州系の人は体がどんなに大きくても大部分が皮下脂肪です。皮下脂肪は悪い物質をほとんど作らないため、メタボリック症候群を発生させることがありません。
(中略)皮下脂肪が比較的安全な脂肪であることから、日本と米国では男性の腹囲の基準値が異なり、日本人が85cm未満なのに対して米国人は約102cm(40インチ)までOKです。これはちょっとショックですね。
問題は、日本人は欧米人と違って簡単に筋肉がつかないことです。
人の筋肉は筋線維という細い線維が集まってできています。この筋線維に赤と白の2種類があると聞いたことはありませんか? 赤い筋線維は「赤筋(せっきん)」または「遅筋(ちきん)」と言い、ゆっくりと長い時間にわたって働くことができます。そして白い筋線維は「白筋(はっきん)」または「速筋(そっきん)」と呼ばれ、瞬間的に大きな力を発揮できるのが特徴です。
(中略)赤白どちらの筋線維が多いかは個人差もあるものの、それ以上に大きいのが人種による違いです。
こうした人種ごとの体質から生まれる違いについて、本書は全編にわたり、人々が暮らすそれぞれの土地柄や気候、そこから影響を受ける食生活がいかに人間の体を作り上げているかを、さまざまな病気との関係も紐解きながら、あらゆる角度で分析している。目次で目にとまった章を読んでみるのはもちろん、第2部以降では、各章末にまとめられたポイントをヒントに、気になる部分から読み始めるのもアリだろう。日本人たる自分の体質に合った健康法や病気の予防法を、本書をきっかけに知ってほしい。








