2024年に私たち九州大学大学院歯学研究院の研究成果を新聞やテレビで報道していただきました。その内容は、
「奥歯のかみ合わせ箇所が減るとアルツハイマー型認知症(以下:認知症)になる率が高くなる」というものでした。
今回の研究では、19万人強のレセプトから、65歳以下の人、データがそろっていない人、歯の状態がわからない人、すでに認知症になっている人を除外して、2万2687人分のレセプトを用いました。それらのうち、2年間に認知症を発症した割合を解析した結果、奥歯のかみ合わせと認知症の発症に関連があることがわかったのです。
人は加齢により歯を失っていくものだが、特に「歯の中で一番先に失うのが奥歯 」であると、著者は指摘する。その理由として、奥歯は歯磨きがしにくいこと、虫歯ができても見えにくく気づきにくいこと、そしてかんだ時の力が大きくかかるため、時にひびや割れにもつながることがあるからだという。
このように本書には、歯に関する実用的で頼りになる話がつまっている。全7章のうち第1章から第3章では、奥歯のかみ合わせの基礎的な解説にはじまり、人が歯を失う原因とその病気、奥歯の喪失が人体にもたらす影響、そして歯の状態と認知症の関係にまで話が及ぶ。つづく第4章以降では、歯の磨き方やケア用品の種類と使い方を紹介するほか、病気になった場合の対策までを網羅している。
中でも歯科医院の選び方については、「もっと早くこれを知っていれば!」と膝を打った。
公的な機関の認証でしたら、「一般社団法人日本歯科専門医機構が認定した専門医」という制度があります。この制度は法律で決まっています。この専門医を選んでいれば、ある程度以上の水準の治療が受けられます。この制度で認定されている専門医は、口腔外科、歯周病、小児歯科、歯科放射線、歯科麻酔の5つがありました。後ろの二つは開業医にほとんどいらっしゃらないので、前の3つが主だった専門医制度です。また、ここ数年で補綴(ほてつ)歯科、矯正歯科、歯科保存(主に歯の神経の治療を担当します)の3領域が新たに認可されました。残念ながら制度ができてまだ間がないので、専門医の数が少ないのが欠点ですが、毎年順調に増えています。この専門医資格を持っていればそれぞれの領域のプロということになります。
自分の歯の状態や歯磨きのやり方をはじめ、歯に由来する病気とその治療法もチェックできる、お役立ちの一冊。ところどころに登場するマンガも、息抜きをしながら内容を理解する手助けとなってくれる。今できる対策は、未来の自分を守ることにつながっている。本書を片手に、自分の歯ともう一度向き合ってみよう。








