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2025.10.31

レビュー

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大人も不安になる「おかね」の話。子どものころから知っておきたい、おかねのこと

お金と仲良くなるために、まず「知る」ことから。

友だちと仲良くなるには、まず相手を知ることから始まります。
では――お金と仲良くなるために、あなたは“お金のこと”をどれくらい知っていますか?

「物を買う」だけじゃないお金の本質について、子どもと一緒に考えられる絵本『おかねってなんだろう』が、2025年10月7日に発売されました。著者は映画化もされた『ツレがうつになりまして。』の細川貂々(てんてん)さん。近年は児童書にも力を入れており、本書は「なんだろうシリーズ」の第4弾。「こころ」「みらい」「しごと」に続く今回のテーマは、誰にとっても少しドキッとする「おかね」です。

主人公のちぃちゃんは、ママからお弁当を買ってくるようおつかいを頼まれます。3,500円を握りしめて出かけたものの、なんだか胸がドキドキ……。お金を持っていることに、少し不安を覚えます。
途中で出会った友だちのブッチーは塾代8,800円を持っていて誇らしげ。
ジュンくんはバス代220円のうち片道を歩いて節約しようと笑っています。
お金を手にした子どもたちの三者三様の反応がとても微笑ましく、どこか自分たちの子ども時代を思い出させるようです。

お金を手にしてうれしい気持ち、少し不安な気持ち、そして使うときのドキドキ――それは大人になっても変わらないもの。お金に振り回されないようになるには、“相手を理解する”ことが大切です。本書はそんな気づきを、かわいいイラストとやわらかな書き文字でそっと教えてくれます。
さらに、お金の流れをシンプルに描きながら、「お金は人と人をつなぐもの」であることも伝えています。お金を得るためには仕事があり、お金が増えることで未来の選択肢が広がる――つまり、仕事と未来をつなぐのもお金なのだと教えてくれるのです。
この視点は、大人の私たちにとっても思わずハッとさせられる気づきです。細川さんの作品は、どれも“やさしいまなざし”で日常の不安や戸惑いをすくい取ってくれます。本書でも、お金という少し重たく感じるテーマを、子どもの視点からていねいにほぐしていく。その筆致には、読む人の心をやわらかくする力があります。

ちなみに、「じゃあ仕事って?」と子どもから尋ねられたら、一緒に『しごとってなんだろう』を手にとってみてください。

そして、冒頭の3人の子どもたちはそれぞれ「お金との経験」を積み、自分たちの引き出しにしまいます(ジュンくんはしっかりとお母さんに怒られてしまいましたが)。この“引き出しを作る”経験は『みらいってなんだろう』にも描かれており、未来への選択肢の糧にもなっていきます。

このように「なんだろうシリーズ」を通して読むと、「こころ」「みらい」「しごと」、そして「おかね」というテーマが一本の線でつながっていることに気づくはずです。

普段の生活の中でお金と関わっていくこと、それがお金と仲良くなる第一歩。
『おかねってなんだろう』は、子どもと一緒に「お金を味方にする」きっかけをくれる、やさしくも奥深い絵本です。

レビュアー

Micha

ライター。フリーランスで働く一児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!

X(旧Twitter):@Micha_manga
Instagram:@manga_sommelier

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