7年前の夏、10年以上におよぶ血液透析、腎移植、再透析の末、堀川さんの夫は透析を止める決断をしました。透析患者は透析を止めると、数日から2週間程度で亡くなります。しかし、その透析に耐えられないほど、身体はボロボロになっていたのです。
終末期、透析患者が、どんなに苦しもうとも、たとえ本人の意識がなくなろうとも、医療側はとことん透析をまわそうとします。患者や家族にはそれしか道が示されないのです。だが、ほんとうにそれ以外の選択肢はないのか?
本書は、夫を看取った堀川さんが抱いた疑問がきっかけです。なぜ、透析患者は「安らかな死」を迎えることができないのか? どうして、がん患者以外、「緩和ケア」を受けることさえできないのか? 日本の医療に、再考を促す入魂の一冊です。
──学芸第一出版部 西川浩史