今日のおすすめ

PICK UP

2024.11.09

レビュー

特徴? 特長?……漢字熟語の使い分けができますか? 読むだけで漢字熟語力がUPする図鑑

仕事がら、漢字熟語の間違いは絶対に許されないのですが、ときどき迷うことがあります。おかしいと自分で気付くことができれば良いけれど、一番困るのは間違いに気づかないとき。

改めて漢字熟語を勉強してみると、知らないことばだらけで、色々なものも見えてきました。

【同音同義語と表示ルール】

漢字熟語で私が一番迷うのは、同音同義語です。
同音同義語は、同じ読み方でほぼ同じ意味を持つことばなので、どちらを使えばいいのか判断が難しい。例えばラッキーを表す「こううん」。
「幸運」も「好運」もどちらも間違いではないのですが、新聞や放送は「幸運」で統一しているので、一般的に使われているのはこちらの「幸運」。

生命の危機を表す「重体」と「重態」も同じ意味で、新聞や放送では「重体」が使われています。
当たり前のように使っていた「幸運」「重体」に、こんな表示ルールがあったとは!!

【悩まし度・星5つ】

この本は難易度が5段階の星印で示されていて、「幸運」も「重体」も最高に難しい星5つ。
ほかにどんな「悩まし度・星5つ」があるのかと探したら、「じつじょう」もそうでした。
この微妙な違いは文章を読んだだけでは理解しにくいのですが、マンガがあるので親近感があり覚えやすいです。

【常用漢字表には何字ある?】

それにしても日本語って難しい。そもそも「常用漢字表」にどれだけの漢字があるのかというと、なんと2,136字。社会で使われる漢字の96パーセント以上をカバーしているのだとか。

当たり前のように常用漢字と言っていますが、「常用漢字表」が制定されたのは1981年。そんなに昔ではないことに驚きました。

しかもそれまでは、日常で使う漢字を制限した「当用漢字表」が使われ、漢字制限の否定から「常用漢字表」に変わったのです。
こうした流れは、戦後日本の民主国家への改革と深く関係していたことを「漢字熟語コラム」で知りました。
2,136字の常用漢字を使いこなしている日本人はすごい!!
そう思うのと同時に、繊細でいく通りもの表現方法がある日本語は、やはり世界で一番美しい言語だと感じたし、改めて日本人としてのアンデンティティにも気づかされました。
だからこそ、正しい漢字熟語を使いこなせるようになりたいのですが……。

【漢字熟語クイズ】

この本には、初級編から上級編まで「漢字熟語クイズ」があり、特に難しかったのは中級編Q12の「定跡の意味はどちら?」という問題。
答えはAかBの2択で、どちらも最善とされる方法という意味。
またしても私の苦手な同音同義語で、囲碁も将棋も知らない私にとっては難関です。

この「定跡」の正解はBの「将棋のある局面で最善とされる駒の指し方」。
すかさず「じょうせき」を引いてみると……
囲碁は碁石を使うから「定石」だとなぜ気づかなかったのか!  と悔しさが込み上げてきました。
よーし、次は頑張るぞー! と上級編に挑んだら、今度は2択ではなく漢字の穴埋めで、散々な成績でした。

パソコンやスマートフォンは簡単に変換できるので、書くことがおろそかになっているのでしょう。答えを見れば「ああ」と思うのに、漢字が出てこない!
最初は勉強のために読み始めた『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』ですが、マンガがあるので意気込むことなく、最後まで楽しみながら学ぶことができました。
そして、できれば「漢字熟語クイズ」にチャレンジしてみてください。上級編は思いの外、難しいので!!

レビュアー

黒田順子

「関口宏の東京フレンドパーク2」「王様のブランチ」など、バラエティ、ドキュメンタリー、情報番組など多数の番組に放送作家として携わり、ライターとしても雑誌等に執筆。今までにインタビューした有名人は1500人以上。また、京都造形芸術大学非常勤講師として「脚本制作」「ストーリー制作」を担当。東京都千代田区、豊島区、埼玉県志木市主催「小説講座」「コラム講座」講師。雑誌『公募ガイド』「超初心者向け小説講座」(通信教育)講師。現在も、九段生涯学習館で小説サークルを主宰。

公式HPはこちら⇒www.jplanet.jp

おすすめの記事

2022.07.26

レビュー

漢字を見つける試練と冒険の書。「漢字ハンターズドリル」で漢字力と好奇心を育てる!

2023.04.24

レビュー

子ども英語は単語が9割! 塾なし留学なしでハーバード現役合格も!

2022.12.30

レビュー

えっ!そんな答えアリなの? なんかずるいけどスッキリする「ちいかわ」パズル

最新情報を受け取る