AI時代だからこそ哲学を──。人工知能が発達する今、「人間の知」を深め、考えることへの関心が高まっています。
静かなブームを呼ぶ哲学の書籍群からおすすめをご紹介します。
「 優しい」「励まされた」という感想を一つならずいただく哲学の入門書が、かつてあったでしょうか。しばしば難解と忌避されがちなフランス現代思想のエッセンスを易しく解説することに心を砕いたのはもちろんのこと、それを実生活に落とし込む動線の滑らかさも類例のないもののはずですが……。
しかし、考えてみれば、この本の秘められた趣旨は、「秩序から逸脱する生き方をいかに弁護するか」ということ。単に「易しい」だけじゃない入門書の「優しさ」は、現代思想と、あるいは現代思想とともに社会の現実と格闘してきた人だけが実現できる“やさしさ”なのかもしれません。
──学芸第三出版部 栗原一樹
巷に溢れる哲学入門書のなかでも、とびきり“悪趣味”なのがこの本です。なんたって、読者を一生かかっても解けないような、アリジゴクのような問いに引きずり込んでぐるぐる引き回し、頭をしびれさせて、書いた本人は幸せを感じているような本なのですから。──時間とは? 「私」とは? 人を殺して何が悪い? そもそも哲学なんて何の役に立つ? ……
しかし、しびれた頭の片隅で、こうも思うはずです、「ああ、このしびれこそ哲学することなのかも……」と。「教科書」を丸暗記したのでは味わえない、自分の頭で考えることの妙味を教える──これこそ「教科書ではない」教科書と呼んだ所以です。
──学芸第三出版部 栗原一樹
21世紀を迎えてから哲学の世界では大きな変動が起きています。今ホットな問いとは何か? それは「人間以後」の世界をいかに考えるか、というものです。「ポスト・ヒューマニティーズ」とも呼ばれるこの動向は、思弁的実在論、オブジェクト指向存在論、多元的実在論、加速主義、アクターネットワーク理論、新しい実在論など、狭い意味での「哲学」をはるかに超えた多様な領域に広がりつつあります。本書を読めば、これらの動向の明快な見取り図を一挙に手にすることができます。注目の著者による衝撃のデビュー作でもある本書を手にすれば、一歩先を行くアクチュアルな思考を身につけられること、請け合いです!
──学芸第三出版部 互 盛央