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2024.03.23

レビュー

どこから読んでも愉しめる上質の哲学エッセイ

哲学はむずかしい。「難しいことを考える」のが哲学なのでしょうから、それも仕方がないことではあります。でも、「難しいことを面白く書く」ことは可能であって、『読む哲学事典』はそのお手本のような一冊ではないかと自負しています。といっても、「中学生にもわかる」といった表層的な平易さとか、おなかを抱えて笑うようなギャグがあるわけではありません(なんとも言えない独特の稚気にあふれてはいますが)。現代哲学の重要な論点に触れるので、なかなか手応えのある内容ではあります。それでも、不思議と「読ませる力」がみなぎった文章で、それこそがこの著者が長く愛されてきた魅力の核心だと思います。

この本は事典と称していますが、エッセイ集でもあります。愛と暴力/期待と希望/保守主義と左翼……概念を対にした各項目は、どこから読んでもいいようになっています。どうぞ気になるところから開いてみてください。

──学芸第三出版部 青山遊

レビュアー

担当編集者

学芸第三出版部

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