自身のルーツを探って亡父の生涯とその一族を描いた一編。縊死した叔父、正気を失ったいとこなど、重く陰うつな話も、どこか風通しよく晴れてる感じがするのは南国の空気のためでしょうか。あまり人を責めたりしない作者のおだやかな人柄のせいでしょうか。後年、師匠太宰治の墓前で自死するような感じには、この時にはとても思えなかったです。(カラスヤ)
レビュアー
1973年生まれ。漫画家。著作に『カラスヤサトシ』『カラスヤサトシのおしゃれ歌留多』『強風記』『喪男の社会学入門』『毎日カラスヤサトシ』第1巻など多数。『アフタヌーンはカラスヤサトシのもの』を「アフタヌーン」で連載中。新刊『オレは子を見て育とうと思う』(竹書房)『毎日カラスヤサトシ』第2巻(講談社)『カラスヤサトシの世界スパイス紀行』(新書館)大好評発売中です。