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2024.06.27

レビュー

優しくて、切ない。 心に深く泌みわたる感涙必至の物語!

「カフネ」とはポルトガル語で、「愛する人の髪にそっと指を通す仕草のこと」。著者の阿部暁子さんは、『翻訳できない世界のことば』という本にあったこの言葉の持つ意味から本作を着想されました。主な登場人物は、溺愛していた弟が急死してしまった法務局に勤める野宮薫子と、その弟の元恋人であった小野寺せつな。遺言書がきっかけで再会し、家事代行サービスで様々な人々の生活を手伝うことで、お互いを理解していく二人の関係性を描いた物語です。

注目は幾つも登場する料理の描写力。調理工程が丁寧に書かれ、読みながら思わずお腹が空いてくるほど。作品全体を通じては、ご飯を食べること、身の回りが片付いていることに加え、苦しい、辛いときこそ人に頼ることがいかに大切か、ということに改めて気付かされます。読了後「カフネ」の意味を感じ取ってくださったら編集者冥利につきます。ぜひごー読ください!

──小説現代編集チーム 山下直人

レビュアー

担当編集者

小説現代編集チーム

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