本書を通じて、私はみなさんに「潜在意識を効果的に使えば、人生はすべてうまくいく」というメッセージをお伝えしたいと思います。
脳の使い方に意識を向け、潜在意識を使いこなせるようになれば、人生は変わります。貴方の能力は向上し、さまざまな願いや夢が叶うでしょう。本書では、潜在意識を使いこなすためのワークやトレーニングをたくさん紹介しています。
「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」
フランスの有名なSF小説家、ジュール・ヴェルヌの名言だ。
世界中で1億部以上売れている自己啓発書『思考は現実化する』(ナポレオン・ヒル著)でも、逆に「人間は想像できないことは実現できない」という形で、イメージの力の重要性が説かれている。
本書の著者・七田厚氏は、「七田式教育」と呼ばれる幼児教育の創始者・七田眞氏のご子息。現在は株式会社しちだ・教育研究所で代表取締役社長を務めている。
七田厚氏が本書の中で一貫して説いているのが、イメージ脳と言われる「右脳」の能力を解放することの大切さ。瞑想や呼吸法、イメージトレーニングの重要性、さらには「ひらめき力を磨く習慣」など、いかにして普段眠っている右脳を活性化し、成功に導くイメージを構築してそれを現実につなげるか。そのノウハウについて、全6章立てで58の方法論を伝授している。
すでに大人である私にとって特に有用に思えるのは、第3章「仕事の成果を何倍にもするイメージトレーニング」と、第4章「『コミュニケーション力』が高まるイメージトレーニング」の2項目。
「事務効率を上げるイメージトレーニング」「新商品をヒットさせるイメージトレーニング」に加え「商談や交渉を成功させるイメージトレーニング」「チームに優秀な人材を集めるイメージトレーニング」など、日常的な仕事現場の具体的なシーンを想定したイメージトレーニング法が紹介されている。
私自身は、インターネットなどによく転がっている「右脳/左脳診断」では、インプット脳とアウトプット脳の両方で確実に「左脳型」と出る「圧倒的な理屈優先型」。そんな私にとって、会議などで理屈の外から絶妙な切り口で印象的なワードを積み重ねる「ヒラメキ型」の人たちの思考は畏怖の対象であり、少しでも近づきたい思いもある。
そんな気持ちで本書を読んでみると「呼吸法」や「瞑想の手法」のような、気軽に試してみても損はないさまざまなノウハウがズラリ。加えて「大きな目標を立てたうえで、そこに向かうまで小さく具体的な成功体験を積み重ねる大切さ」や、「将来の自分に夢を持つとともに、今の自分を否定しないことの大切さ」という、いわゆる自己啓発本の王道的な「心の在り方」についてもしっかりと網羅されている。
ダイエットや資格の勉強などと同じく、一朝一夕で何かが変わるものではない。それでも気楽に第一歩を踏み出せば、少なくとも十年一日のような毎日を送る未来と比較すると「なにかが変わる可能性」は大幅にアップすることだろう。
「現場に大きな不満はないが、将来に漠然とした不安がある」という多くの人たちにとって、なにかが変わる一冊になるかもしれないな、と感じた。
レビュアー
編集者/ライター。1975年生まれ。一橋大学法学部卒。某損害保険会社勤務を経て、フリーランス・ライターとして独立。ビジネス書、実用書から野球関連の単行本、マンガ・映画の公式ガイドなどを中心に編集・執筆。著書に『中間管理録トネガワの悪魔的人生相談』、『マンガでわかるビジネス統計超入門』(講談社刊)。