『方舟』で2022年のミステリ界を震撼させた夕木春央さんの最新作は、大正もの本格ミステリです。メフィスト賞を受賞したデビュー作『絞首商會』、そして『サーカスから来た執達吏』『時計泥棒と悪人たち』と大正ミステリを描き続けてきた夕木さん。今作は、油絵画家・井口の未発表作品を剽窃(ひょうせつ)した犯人を捜すため、井口や元泥棒の蓮野たちが大正時代を舞台に事件を追いかけます。
盗作犯を探していると、天才芸術家の死、とある秘密を抱えた舞台女優、盗作事件に贋作事件、そして戯曲『サロメ』に擬(なぞら)えたと思われる連続見立て殺人など、様々な事件が巻き起こります。そして、謎が解けたとき“サロメの断頭台”とともに待ち受ける真実とは――? 謎が謎を呼ぶ怒濤の展開に、誰しもが驚く衝撃のラスト。ページをめくる手が止まらない、夕木さんの真骨頂の本格長編となっています。どうぞご堪能ください!
──文芸第三出版部 關晴奈
レビュアー
文芸第三出版部