「うまく老いている人に聞くのが成功の鍵です」と語るのは、ベストセラー『80歳の壁』の著者・和田秀樹さん。6000人以上の高齢者を診てきた精神科医です。和田さんが「うまい老い方」を聞くお相手は、91歳の現役評論家・樋口恵子さん。樋口さんは介護保険制度創設の立て役者で、今は自らの老いをエッセイで「実況中継」しています。シリアスな場面でもユーモアを交えて、凹まない生き方を教えてくれるのです。
本書の対談中、強く感じたのが、痛快なくらいお二人が高齢者の味方ということです。樋口さんが、がん闘病からトイレ事件、夫君に先立たれたこと、現在の「ヨタヘロ」状況など赤裸々に語れば、和田さんは老年期ならではの医療の落とし穴や、若々しい人がやっている前頭葉の鍛え方、年代別のアドバイスなどで応えます。さらに、生き方の哲学が語られ、大事にしている口ぐせまで登場する一冊となりました。
──ノンフィクション編集チーム 呉清美
レビュアー
ノンフィクション編集チーム