今日のおすすめ
作る楽しさ、飾るうれしさ! かわいいおりがみ壁飾りがあっという間に完成!
(著:いまい みさ)
かつて働いていた書店の児童書売り場で、担当者が手がけた季節の飾りつけを見るたび、「一度は作ってみたい」と感じていた。とはいえ、手先の不器用な私にはハードルが高く、退職した今となっては日常的に作る機会もない。そもそも何から手を付けたらいいのかもわからず、憧れは憧れのままだった。
そんな私の前に登場した本書は、表紙からして愛らしい。季節ごとに掲載されているさまざまなモチーフは、かつて私が「作ってみたい」と感じたものにも近かった。おりがみ作家である著者は、これまでに多くの著書を出版し、オンラインセミナーやYoutubeでも活躍しているという。幅広い年齢層のファンに支持されている著者の作品なら、初心者の私にも作れるかもしれない。ドキドキしながら挑戦することにした。
まずは目次から読んでいく。100点以上にのぼるモチーフは、すべて新作だというから驚いた。「サイズについて」の説明では、おりがみを小さく切って使う際の基準が、サイズごとに記載されている。本書では、15cm四方で裏が白い「片面おりがみ」が基本とされている。だが1/2や1/4サイズはともかく、1/36や1/72といったサイズのおりがみは、はたして何に使うのか。首をひねりながら読み進め、道具の使い方も確認する。
次のページでは季節ごとの壁飾りが、「ひなまつり」「お花屋さん」といった記念日やテーマ別に、写真で紹介されていた。どれも華やかでかわいらしい。さまざまなフレームに収められたキャラクターは、動植物だけでなく食べ物や郵便ポスト、イースターエッグやアマビエまでと幅広い。ウキウキしながらページをめくる中、目を惹かれたのは「読書の秋」の壁飾りだった。
本に携わる仕事をしていた身としては、これ一択!とばかり、作ることを決めた。著者いわく、おりがみは「柄も使おう!」とあったため、通常のおりがみと柄のおりがみ、小道具のシールを買い出して、いざ作り始める。
まずは土台となる「フレーム」を作っていく。AとB、2パターンのピースを作り、それを折り紙の周囲に挟みこむ。「これは楽勝」と思いきや、Bを付けた時点で見本の通りになっていないことに気がついた。説明を読み直すと、私が折ったものは見本の大きさの半分しかなく、折り過ぎていたことが判明。本書は折り目も折り方も丁寧に書かれているし、形もそれほど難しくない。にもかかわらず、最初から折り間違えるというのもすごい才能……と、自分に呆れながら折り直して完成させる。
次はメインキャラクターのクマを折る。顔は「ねこ」のつくり方からの応用で、体とうでは「うさぎ」のつくり方の流用だった。顔や耳の形が複雑なので、さぞ織り込むのだろうと思ったら、顔は6段階、体は5段階、うでに至ってはたったの3段階でできてしまう。予想以上の手軽さにほくほくしながら、目や鼻をシールで作っていく。見本通りの色や形がなかった部分は、マジックで書き込んでから切り出した。見本よりサイズは大きく、顔もユニークな表情になったが、これはこれで味があると自分を納得させて先へ進む。
次は、周囲を飾るモチーフを作っていく。メッセージリボンや秋を感じさせる葉、きのこ、いちょう。折る前はどれも凝った形に見えていたが、実際に折ってみれば5つ以下の工程で済んでしまった。こんなにかわいくて映えるのに、この手軽さはすごすぎる……! 副題の「あっという間に完成!」は伊達ではない。そしてきのこの「じく」を作る際には、折りがみサイズ「1/36」にも初遭遇。きのこの「かさ」に対して、このサイズのおりがみが必要になるのは、納得のバランスだった。
ちなみにモチーフの一つである本は、作成後「シールなどで表紙を飾りましょう」とあったものの、手元にシールがなかったため、家にあるもので代用。レターセットのシールや封筒を切り出し、活用した。そうしてすべての材料が揃ったところで、いざ組み立てに! ……と思ったところで、くまのチークとメッセージリボンを忘れていたことに気がつき、慌てて追加する。
いろいろなミスはあったものの、無事完成。見本の位置や色味とは異なるものの、それなりに見栄えもするし、できあがりの満足度も高い。所用時間は約4時間。私は不器用なのでそれだけの時間が必要だったが、慣れてくればもう少し早くできるだろう。店頭はもとより、教育の現場や医療施設などで日常的に作られる方であれば、きっとさらに早くできるはず。季節の飾り作りに悩んだ時には、ぜひ読んで作ってみてほしい。
作るのはとってもかんたんなのに、超カワイイ! おりがみ飾りの作品を紹介します。
「木の葉リース」「フレームタイプ」「おうちタイプ」「タペストリー」など、たった2~4枚のおりがみでできる土台に、季節を感じるモチーフを好きに飾って楽しくイベントを盛り上げます。月ごとに楽しめるリースやフレーム(額縁飾り)を中心に紹介します。
春夏秋冬の季節感あふれる作品、52点掲載!
パーツとなるモチーフはすべて新作、100点以上!
これまで壁飾りを楽しんできた人はもちろん、おりがみ初心者もすぐに楽しめる内容です。アレンジも無限大!
◇素敵なこと その1
【たった2~4枚でできちゃう かんたんリースとフレーム♪】
土台は2枚のおりがみでできる木の葉リースをはじめ、おりがみの枚数も少なくかんたんにつくれます! おりがみの色や、その上に飾るモチーフの組み合わせで印象をさまざまに変えられます。
◇素敵なこと その2
【季節の行事やイベントもりだくさん! 1年中使える♪】
12ヵ月の季節のイベントを楽しく彩る作品をたくさん紹介! お正月や入学式、七夕、お月見、クリスマスをはじめ、「がんばって」「おめでとう」「ようこそ」など1年中飾れるものも盛りだくさんです。
◇素敵なこと その3
【おりがみ界の新キャラクター・ふたごの魔法使いも登場♪ かわいい動物も満載】
おりがみ界のふたごの魔法使い「メリーちゃんマリンくん」が初登場し、作品にかわいい魔法をかけます。洋服やポーズも変えられます。2人が季節の行事を楽しむなど大活躍。顔は大事なので、失敗しにくいよう丸シールを使って紹介します(もちろんペンなどで自由に描いてもOK)。
本に登場するのは一例で、髪色や髪型を変えてみたり、お洋服にする柄のおりがみを工夫したりと、アイデアは無限です。女の子・男の子をおうちのフレームに飾って「お店屋さん」や洋服を替える「きせかえ」としても楽しめます。そのほか、猫、ペンギン、りす、うさぎ、インコ、かぶとむし&くわがた、くまなどの動物や昆虫、アマビエやオニなど伝説の生きものまで季節を表情豊かに盛り上げます!
◇素敵なこと その4
【「丸シール」だけでできる作品も紹介♪】
季節のくだものやお花など、丸シールだけでできる驚きのモチーフも紹介! おりがみ作品をさらにかわいくする技として使えます。
かんたんカワイイ季節のモチーフはすべて新作!
「お店屋さんで遊ぼう」などアレンジ作品も充実!
作る楽しさ、飾るうれしさにあふれた1冊です♪
レビュアー
元書店員。在職中より、マンガ大賞の設立・運営を行ってきた。現在は女性漫画家(クリエイター)のマネジメント会社である、(株)スピカワークスの広報として働いている。
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