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結局いくら必要なのか!? 定年からでも間に合う老後の資産運用、お教えします!
(著:風呂内 亜矢)
年金を収める歳になったころ、未来の自分が本当に受給できるのかどうか、疑心暗鬼だった。その気持ちが消せないからこそ、「自助努力」としてできる限りの貯蓄を心がけてきた。だが時が経ち、いざその時が見えてくるようになると、消してきたはずの不安がむくむくと湧いてくる。自分が選んだ方法よりも、もっと良い方法があったのだとしたら──。
本書はタイトルの通り、主に定年を間近に控えた方向けに、お金に振り回されず過ごせる老後の方法について、さまざまな角度から丁寧に紹介している。「今の貯蓄は心もとない」「資産運用は苦手でこれまで遠ざけてきたけれど、やっぱり不安……」という方にこそ、著者の言葉をお届けしたい。
安心してください。じつはちょっとの工夫をするだけで老後資金は見通しが立つものです。定年間際の方でも、十分に間に合います。
必要以上にリスクのある投資や、続けられないような節約をする必要はありません。退職金や公的年金の上手な受け取り方、定年後でも間に合う資産運用の仕方、自分にあった節約方法など、知っておくべき知識を押さえ、それを実践するだけで、十分に幸せな老後を送ることはできるのです。
「今から見直すなんて遅いかも」と考えていた私は、この言葉に背中を押された。私の場合、定年まで時間がある今が見直しのチャンスなのだろう。早ければ早いほど、打てる手も増えるはず。これまで選んできた方法が適切かどうかを知ることもできそうだと、早速読み始めた。
本書は全四章からなり、序章と第一章では現在の家計の見直しと資産運用についての準備と心がけが説かれている。大事なことは、日々の暮らしの収支が把握できているかどうかだとつづる著者の言葉で、最初に響いたのはこの一言。
人間は生きているだけで意外にお金がかかっています。
人間の身体にたとえれば「基礎代謝」の部分であり、それに事欠けば生存があやうくなってくる。だからこそ生きるためだけでなく、よりよく暮らしていくためのお金を確保すること、すなわち余裕のある老後資金の必要性が理解できる。そして著者は「まず押さえておきたいコツ」として、次の3つを挙げていた。
そのコツの一つ目は、我が家の家計を把握し、現在地を確認すること。
次に、医療費など大きな支出がいくらかを想定すること。
そして、それまでに蓄えたお金を効率的でシンプルな運用に回しておくこと。
この三つを理解しておくだけで、老後資金に対する不安はほとんど解消されてしまいます。
現在の財布事情を自分できちんと把握している人は、それほど多くないと著者は指摘する。私自身、最近では現金を使うことが減り、カードやスマートフォンでの決済も増えている。そのため、いつの間にか出費がかさんでいる時もあり、明細を見て驚くことも。「いつどこで何に使ったか」をざっくりとしか把握していない身には、特に一つ目のコツが耳に痛かった。
続く第二章では、いよいよ資産運用についての心構えと概要が解説されている。そうして全体像を見渡した上で、第三章以降では投資の王道として「投資信託」が、第四章では「税制優遇口座」が、それぞれ具体的な手段が挙げられていた。ご存じの方には基礎的な情報ばかりかもしれないが、おぼろな知識しかない私にとっては、手数料から口座の作り方、商品の種類や選び方まで細かく紹介されているのがありがたい。「知らない」ことを前提に、最新の情報が網羅されているのも心強かった。
状況も制度も刻々と変わっていく中で、現実へ立ち向かうためには確かな知識がいる。その手始めとして、本書は大きな助けとなりそうだ。不安を抱え続けるのではなく解消するための一歩を、本書ととともに踏み出したい。
- 電子あり
60歳から「そこそこ働きそこそこ楽しむ」ためのライフプランニングシートを作って、パートナーと終末期まで収支を合わせる必読書!
「定年退職を間近に控えると、いよいよ老後の生活が現実味を帯びてきます。老後といってもいまや人生百年時代となりました。定年延長や再雇用などで七十歳までは少なくとも現役、という心構えの方も多いことと思います。実際、定年後の生活を見据えて「退職金で老後資金を賄えるのか」、「年金は足りるのか」、「途中で老後資金がつきてしまうのはないか」、「子どもに頼ることになるのでは」と、私もふだんの仕事上、さまざまな不安の声も耳にします。
2020年には新型コロナウイルス感染症の流行が始まり、収束の糸口すら見えてきません。経済にも深刻な打撃が与えられました。
ここ数年、将来を楽観視できる要素を見つけるのが難しくなってきています。しかし、安心してください。じつはちょっとの工夫をするだけで老後資金は見通しが立つものです。定年間際の方でも、十分に間に合います」(「はじめに」より)
(目次より)
はじめに 幸せな老後マネーとのつきあいかた
序 章 資産運用をはじめる前に心がけること
第一章「自分仕様」の資産運用を見つけるために
1 資産運用のための準備 家計がわかれば運用も簡単に!/2 家計管理の三つの考え方/3 出ていくお金/4 入るお金はどれくらいあるか/5 結局いくら必要なのか/6 取り崩し方
第二章 老後資産運用の基礎知識
1 お金の管理も立派な資産運用です/2 資産のほとんどを現金で保有しておくことのリスク/3 投資への期待感を下げる/4 それぞれの金融商品のリスクと特徴/5 結局どんな商品を選んで投資すればいいのか/6 なぜ投資信託の積立投資を検討すべきなのか
第三章 投資の王道 投資信託
1 そもそも投資信託はどういう仕組み?/2 購入の仕方/3 証券会社の選び方/4 口座の選び方/5 商品の種類、選び方/6 取り崩し方
第四章 味方にしたい税制優遇口座
1 アセットロケーション(資産の置き場所)も重要/2 NISAとは/3 つみたてNISA/4 二〇二四年から新NISAがはじまる/5 確定拠出年金とは/6 見逃せない手数料 拠出額を上げ、負担割合を下げたい/7 定年間際の世代が確定拠出年金(iDeCo)をはじめるメリット/8 NISAとiDeCo どちらを優先させるべき?
レビュアー
元書店員。在職中より、マンガ大賞の設立・運営を行ってきた。現在は女性漫画家(クリエイター)のマネジメント会社である、(株)スピカワークスの広報として働いている。
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