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「ふえるわかめちゃん」も「複合機」も生んだ! 理化学研究所って何が凄いの?

2018.02.03
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たとえば、自動車エンジン部品のピストンリング、即席食材の「ふえるわかめちゃん」、コピー機能を中心とした複合機──これら3つを製造する各々のメーカーは、一見何の関係もないように見える。しかし、ルーツを辿ると同じ会社に行き着く。それが今年、100周年を迎えた巨大研究機関「理化学研究所」(以下、理研)である。

理研にゆかりのある企業は、現在115社にものぼる。これだけの企業が事業を継続できるほどの「発見」を続けているという事実は、理研の社会的意義を雄弁に物語っているといえよう。しかし、そこでおこなわれている実験・研究内容や、100年にも渡る歴史については、市井の人々にはなかなか見えてこなかったのも事実だ。

そこで本書の出番である。本書では、理研の特色とも言える研究員制度、世界一の設備や環境、研究に心血を注ぐ研究者たちの様子など、理研の「中の人」にしかわからないようなことが数多く紹介されている。最新科学の動向について、ある程度広く知ることができるのも嬉しい。

なによりもすばらしいのは、本書を読むうえで前知識がまったく必要ないことだ。理研とその成果をここまでわかりやすく書ける人物は、著者をおいて他におるまい。科学研究と縁のない人にこそ、おすすめしたい1冊である。エキサイティングな科学の世界へようこそ。

目次

  1. 第1章 113番元素が誕生した日
  2. 第2章 ガラス板の史跡
  3. 第3章 加速器バザール
  4. 第4章 超光の標的
  5. 第5章 100京回の瞬き
  6. 第6章 スパコンありきの明日
  7. 第7章 生き物たちの宝物殿
  8. 第8章 入れ歯とハゲのイノベーション
  9. 第9章 遺伝子バトルの戦士
  10. 第10章 透明マントの作り方
  11. 第11章 空想を超える「物」
表紙画像

3,000人の科学者集団の素顔

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著者紹介:山根一眞

1947年生まれ。ノンフィクション作家、獨協大学経済学部特任教授、獨協大学環境共生研究所研究員。2010年刊『小惑星探査機はやぶさの大冒険』はベストセラーとなり、翌年には著書が原作となり映画「はやぶさ」(東映)が公開される。著書は、『変体少女文字の研究』『ドキュメント東京のそうじ』などのノンフィクション、『メタルカラーの時代』をはじめとする技術・もの作り関係から、情報術、科学論まで多数。自治体・政府関係の役職として、JAXA嘱託、理研相談役、福井県文化顧問など多数。講談社科学出版賞選考委員も務める。

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『理化学研究所 100年目の巨大研究機関』書影
著:山根 一眞

113番元素ニホニウムだけじゃない、スパコンからバイオ、脳科学、再生医療まで、幅広い研究で基礎科学を支える日本最大の研究所「理研」。1917年(大正6年)に設立され、高峰譲吉、鈴木梅太郎、長岡半太郎、寺田寅彦、湯川秀樹、朝永振一郎など、日本の科学史を彩る研究者たちが参集した。100年目を迎える2017年には450の研究室、3,000人の研究者を擁し、世界有数の研究所として全国に研究施設を持つ。ノンフィクション作家・山根一眞がその研究現場をつぶさに訪ね歩き、今いったいどんな研究が行われ、研究者たちは何を目指しているのか、その全貌を明らかにします。

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