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推薦コメント紹介!
うわああああああああ面白い!!
読者を徹底的に楽しませようという、揺るぎない意思を感じる作品でした。
完成度高いな、ちくしょう!
──三雲岳斗(『ストライク・ザ・ブラッド』『アスラクライン』)
テンポ良い文章、謎を呼ぶ主人公、怒涛の展開、ページをめくる手が止まらない!!
僕らはこの作品を『読む』世界を『選ぶ』しかない!!
──株式会社アニメイト バイヤー 石井成八
これは、人類の滅亡に挑む少年たちの物語。
人類滅亡はもはや秒読みだった。正体不明・宥和不可能な異星人「敵(エネミーズ)」──。奴らの「月落下作戦」をたったひとりで阻止した、謎の少年がいた。だが、戦いのあと、彼は忽然と姿を消す……。
3年後、記憶喪失の少年・神代カイルが都市近郊で保護される。強大な敵の強襲に、カイルは「あらゆる確率を自在に操る能力」を発現させ撃退。しかし、窮地を救った活躍にも拘わらず、彼は存在自体が罪の未成年分隊──《有罪の子供達(ギルティチルドレン)》に編入されてしまう。
第1回 朝霧カフカさんが大好きな新人編集M田の突撃インタビュー!
──『文豪ストレイドッグス』で大忙しのはずの朝霧先生の新作が講談社BOXから発売と伺い、飛んできました! 一体いつの間にご執筆されていたのでしょうか!?
この作品、実は「週刊ヤングマガジン」の増刊、「ヤングマガジンサード」創刊から連載していたものなんです。漫画原作のご依頼かと思ったら担当編集さんから「小説書いてください」と。漫画雑誌なのに小説かい!(笑)と思いましたが、それなら僕にしかできないことがあるかもしれないと、お受けしました。
──なるほど。ということは、漫画雑誌連載ならではの難しさやテーマなどがあったのでしょうか?
毎回楽しんでもらいつつ、同時に長く愛される作品にしたかったですね。つまり今の流行をきちんと押えつつも、普遍性のあるテーマを盛り込みたかったんです。
なので、連載の最初から楽しめるように、弱い主人公が修行して強くなるのではなく、最初から強い主人公にしよう、と。だけど、最強の主人公がただ敵を倒す、というパターンはともすれば平板になっちゃいますよね。
だから、最強だけど、努力や苦労をして勝つ。それはどんなキャラクターなんだろう、と思ったときに、「確率を操る主人公」を立てよう、と思ったんです。
──確率を操るって、かなり最強クラスの能力ですよね! 努力や苦労が必要ないのでは?
はい、ゲームの中でも、確率を操れれば、レベル1でもラスボスを倒せるかもしれない。このアイデアの種を、物語に応用したかったんです。だけど、何でもありの「確率操作」にはしたくなかった。物理法則がきちんと存在する世界で、バトルの中にも論理や理屈を求めたかったんです。この能力は、決して無敵ではなく、弱点だってたくさんある。そこから第1巻のサブタイトルになっている「世界最弱の救世主」というキャラクターが生まれました。その論理がどういうものなのか……は、この作品を読んでいただければ!
──確かに、そこはすごい読みどころでしたね! ただ、流行と普遍性、一見すると相反する言葉のように思えます。それは大きな挑戦だったのでしょうか。
せっかく作品を書くなら、低い山よりも高い山に登った方が楽しいじゃないですか。もちろんそれは大変な事ですが、世界最高のお話を作ろう!と思って物語を書くときに、妥協したくはない。
それと、流行と普遍性、あるいは新しいものと古いものを共存させることは、テクニックが必要ですが、不可能ではないはず。例えばですけど、主人公が最初から超強くて、世界1のパワーを持ってて、どんな敵もバカスカ倒して、かわいいヒロインにキャーキャーいわれるのは、ネット小説などでよく見かけますけど、普遍性がないわけではない。ハリウッド映画の王道でもあります(笑)。
──確かに……。では、今回の単行本化では、そこまで苦労はなかったのですか?
それが実は……第1章以外ぜんぶ……改稿しまいまして(笑)。連載時のその1回をおもしろくする構成に加え、物語にもっと大きな謎を求めてしまって。しかも、もっと面白くなる方法を見つけちゃったんですよ……。なので泣く泣く連載の原稿を、ほぼ全部捨てました(笑)。
──それは……とんでもない改稿作業だったのでは!?
作家というのは、自分の物語を建築物だとすると、その骨組みまで知っているわけですよ。建てたあと2週間くらい置いてあらためて眺めてみると、いろいろと見えてくることがあります。あれ、こうするともっと良くなるぞ?と。その結果、建物をいちどぜんぶ壊すことになってしまったわけですが……(笑)。でも、その結果、作品はより面白くなったので、結果オーライでしょう!
──そうすると、連載時よりも格段に面白くなっている!?
エンタメとしての密度は間違いなく上がりました! おもしろいものを創るためには、すべてのシーン、すべての行、すべてのセリフをおもしろくできれば、当然いちばんおもしろくなるはずという発想がありました。つなぎのシーンやつなぎのセリフはいらない。次のシーンを面白くするためにつまらない準備のシーンを挟むことを自分に禁じたんです。とにかく妥協しない、悩んで悩んで悩みまくる! まずまずなシーンを思いついても、もっとおもしろいシーンが書けるならば、潔く捨てる。もっとおもしろくなるはずだ!と思いながら書いていました。
第2回『ギルドレ』と『文豪ストレイドッグス』
小説連載当初に書かれたキャラクターイラスト
──続いて、僕も気になる『文豪ストレイドッグス』と『ギルドレ』の違いについてうかがわせてください。漫画原作である『文スト』と小説である『ギルドレ』だと、随分違う物なのでしょうか?
そうですね……。舞台演劇やドラマをイメージしてみてください。小説を書くと言うことは、自分自身が監督であり、脚本家であり、役者であり、カメラマンであり、作品すべてを観客の前にさらけだす、とういことです。観客の視線を意識しながら、プロットづくり、ストーリーづくり、セリフづくりができる。セリフとセリフの間(ま)ですら作者がコントロールでき、このセリフのあとにニヤリと笑えばきっと読者はこう思うだろうというところまで読者を意識できて、おはなしづくりができるわけです。
一方、漫画原作の場合は、その大半を作画担当の漫画家さんが担ってくれます。おもしろい作品にしようと、セリフを考え、ストーリーを考え、シーンのつなぎ方を考えはするものの、表現のレベルにおいては、裏方であるべきだと思います。それは、ストーリーづくりに集中できるということでもあります。
──では、漫画原作の際、とくに意識されていることもありますか?
目に見えないものを想像することでしょうか。完成品がわからない手探りの状態でおもしろいものをつくりあげる、いわば漫画原作者は、二人羽織の後ろの人ですよね。その厳しい作業を独善的にならずにこなさければならない。作画担当者というべつの才能のステップを踏んでも、強度を失わないおはなしをつくる必要がある。
──なるほど、分業しているがゆえのむずかしさなんですね。
『文スト』ですと毎回の連載で、完成図が見えないもどかしさをかかえながら頑張っています(笑)。実際、漫画原作と作画をわけることは、おはなしを作るのが得意な人と、絵を描くのが得意な人が分業することなので、2倍おもしろい漫画ができるはず、という思いで原作を作っています。
──目が見えない状態でおはなしをつくるようなものですね。非常にむずかしそうです。
はい、でも、作画担当者の才能を信じてますから。彼らは絵の専門家なので、構成や、コマ割りなど完成図をこちらでイメージしながらも、それは封印して渡しています。僕は絵に関しては素人なので、作画担当者が考えたネームのほうがおもしろいわけですし。なので、『文スト』の漫画を、春河35さんというすごい才能の方にご担当いただいたのは、非常に幸運でした。
──『文スト』は作画の春河35さんとの化学反応から生まれてるんですね。もともとあの作品は女性をターゲットに据えてはいなかったとお伺いしました
女性向けではないのはもちろんですが、「文スト」のコンセプトはずばりキャラクターをいかに魅力的に見せるかです。バトルのサプライズ展開はありますが、キャラを魅力的に見せないストーリー展開はすべて捨てました。ちょっと特殊なつくりですね。
──一方で『ギルドレ』はストーリーラインが中心に据えられているに見えます。先の先ことまで計算されて書かれているというか、あらゆる段階で「秘密」がある……!
『ギルドレ』はかなり長いおはなしを前提として書かれているので。キャラの魅力を引き出しつつも、新しくやってみたいことはたくさん挑戦しようと思いました。世界そのものの謎を設定し、それがあらたな謎を呼ぶ。前提がひっくり返ってしまうような驚きのどんでん返しなども仕掛けたい。ドキドキハラハラやサスペンスでも魅せたいです。キャラクターに引き付けると、こいつはいいやつなんだろうか、わるいやつなんだろうかもひとつの謎になりえます。漫画だったら一秒でもはやくキャラを立てなきゃいけませんのでできません(笑)。エンターテイメントを全部やってやろうと思ったのが『ギルドレ』です。おかげですげえ時間かかりましたが(笑)。
──つまり、まだまだ続編があると!?
はい、これからもお話は続いていく予定です! 『ギルドレ』についても、コミカライズのお話がありますし、こちらも楽しみにしているところです。
第3回『ギルドレ』の物理法則
──『ギルドレ』ではイラストレーターとして烏羽雨さん、貞松龍壱さんのおふたりにお願いされていますね。
連載当時の担当編集さんに「烏羽雨さんにお願いしています」と伺い、イラストを拝見したとき、上手すぎてなんかの間違いじゃないかと思いました(笑)。それがご快諾いただけて。ふだんは児童書やジュブナイルでたくさんイラストを描かれている方ですが、『ギルドレ』のようなSFバトルもお好きらしくぜひ、と。いやあ、ラッキーでしたね(笑)。
──貞松龍壱さんはいかがでしょうか? 『ギルドレ』では主にメカニックデザインを担当されています。
貞松さんは貞松さんでとんでもない方で……(笑)。メカのイラストがとにかく緻密でカッコいい。しかも、たとえば作品の冒頭にでてくる外骨格戦車という二足歩行のメカイラストを1枚お願いしたら5枚くらいちがうパターンで描いてくれるんですよ。さて、どれにしましょうって。いやいやいや! 出てくるの1体ですけど……(笑)。
──結果、非常にたくさんの設定資料イラストが存在しますよね。
はい。読者の方々にもぜひ見ていただきたかったので、本のなかにもたくさんイラストページを設けていただきました。あ、ちなみに貞松龍壱さんは漫画家さんとして現在、『バスタードレス』(別冊少年マガジン)を連載中ですが、こちらも非常におもしろいですよ!
──『ギルドレ』の壮大な世界観が、2人の天才的なイラストレーターさんの手によりますます広がったんですね。では、作品の設定や世界をつくるうえで気をつけられていることはありますか?
バトルものではありますが、魔法使い同士の戦いにはしたくなかったですね。きちんと物理学に則りたいという思いがありました。たとえば念火能力者(パイロキネシス)という火の玉を飛ばして戦うキャラクターを作品に登場させるときも、科学をベースにするといろいろと制約があります。火はそもそも何かが燃えているときに気体がイオン化してプラズマが生じている状態なんです。火の玉を飛ばすならその真ん中に燃焼体があるはず。念火能力ひとつとってもそこまで突き詰める必要がある。まあフィクションのなかで、科学に忠実であることがかならずしも正しいとは思いませんが……(笑)。
──主人公は一見、「確率を操る」という最強の能力を持っていますが、これも作中で「ごく当たり前の物理現象」と明言されています。
科学の範囲内で「最強の能力」にしたかったんです。あと『ギルドレ』の世界では厳しい訓練を受けた大人の兵士よりも子どもたちが強いですが、こちらも作中できちんと理由を説明したつもりです。
──そんな『ギルドレ』ですが、すでに第2巻もご執筆中ということですが……。どういう作品になりそうでしょうか?
まず、『ギルドレ』というのは同名の跳ねっ返りチームのことですが、カイルとニィナのほかに新しいメンバーが登場します。そして、2巻からはミステリになります……。
──えっ!? それはいったいどういうことでしょうか? たしかに1巻のラストは非常に気になる幕引きでした。
救世主にまつわる謎、が物語の主軸になってきます。救世主とはいったい何者なのか。誰なのか。ここからは2巻を読んでのお楽しみです(笑)。
──おお、気になる……!
ぜひ1巻を読んでいただき、ご期待いただければと思います! ぼく自身、非常に気合いを入れて書き上げた作品なので!
(終わり)
漫画原作者、小説家。「汐ノ宮綾音は間違えない。」「水瀬陽夢と本当はこわいクトゥルフ神話」(すべてKADOKAWA )のコミックス原作を手がける。2013年1月号より「ヤングエース」で連載を開始した『文豪ストレイドッグス』は、実在の文豪たちがキャラクター化して戦うという斬新な設定が話題となり代表作に。本作の累計発行部数は400万部を突破し、2016年にアニメ化される。
近未来。地球は正体不明の異星人『敵(エネミーズ)』の前に、絶望的な戦局を強いられていた。“月落下作戦”───。人類滅亡確実と思われた状況から世界を救ったのは、たった一人の少年・神代カイル。“世界最弱の救世主(ミニマム・ワン)”と呼ばれ人類の希望となったその少年は、量子力学による波動関数の収束を利用した、「あらゆる可能性を選び取る力」を持っていたのだ。だが、少年はその日以降、人類の前から姿を消す。
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