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美容界のレジェンドが語る──自分も人間関係もラクになる「俯瞰力」とは?

外資系化粧品ブランドの広報の責任者として活躍した鈴木ハル子さんが、長年の経験から得たことや、自身が実践している「自分も人間関係もラクになる方法」を紹介します。「美しく生きる」ためのヒント、ぜひ実践してみてください。

2016.10.10
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鈴木ハル子(すずき・はるこ)

1956年生まれ。トータルビューティアドバイザーとして、美を通じて豊かな人生を過ごすための提案をしている。 外資系化粧品ブランドの広報の責任者として長年務め、2016年4月に定年退社。 定年後もその腕と人柄がかわれ、企業からも引く手あまたの中、個人的なアドバイザーとしての仕事を始め、的確な指摘とアドバイスが好評につき、口コミで顧客も広がっている。雑誌の連載や記事などでも活躍中。美容はもちろん、企業でスマートにビジネスをこなしてきた経験にもとづき、人間関係や心の持ち方などのアドバイスも人気。

経験が教えてくれたのは自分が自分を見つめる「俯瞰力」の大切さ

私は、外資系化粧品ブランドの広報として、およそ30年にわたって「サラリーマン生活」を送り、このほど60歳を機に「卒業」したばかりです。

仕事でもプライベートでも、山あり谷あり、いろいろな経験をしました。楽しいこと、幸せなことなど、プラスの経験ももちろん、たくさん。一方で、失敗をして落ち込んだこと、迷って悩んだこと、悔しいこと、辛いこと、悲しいことなど、ネガティブな出来事もたくさんありました。ときに自分を見失いそうになったり、まわりに流されそうになったり、自分の常識や価値観が揺らぎそうになったり。こうして、たくさんの経験を繰り返すうちに、気づかされたことがあります。

それは、自分が自分自身を見つめる「俯瞰力」がとても大切だということ。

まるで高い所から見下ろすように、もうひとりの自分が、「あなた、それでいいの?」とか「もしかしたら、ほかの見方があるんじゃない?」と問いかける。決して、自己愛や主観じゃなく、あくまで冷静、かつ客観的に。そうとはいえ、人や世の中の尺度ではなく、あくまで自分の尺度で。さらには、ほかの人に起こった出来事でも「自分ならどういう気持ちだろう?」「自分ならどうするだろう?」と他人事を自分事に置き換えて考える……。そういう、寄りの目線でなく引きの目線で自分の見た目や立ち居振る舞い、思考や行動をとらえる感覚こそが、自分らしさという「軸」や「芯」をつくり上げるのだと、気がつきました。

つまり、俯瞰力を持つと、うまくいけばこれでよかったんだという自信につながり、うまくいかなければ素直にもっとがんばろうという前向きな気持ちにつながります。それが成長につながり、自分らしさが明確に見えてくる。そして、何があってもぶれない自分でいられるから、生きるのが楽になる。余裕や優しさが生まれ、まわりへの感謝にもつながり、美のスパイラルが生まれるのではないでしょうか?

真の美しさ=遠目美人をつくるのは、小さな「気づき」と「心がけ」

私は以前から、本当に美しいのは「近目美人」より「遠目美人」と言葉にし続けてきました。ファッションや美容など見た目に関わることも、働き方や生き方など自分や人生の根幹に関わることも、自分との距離が近い「近目」だと主観的になり、長所も欠点も意外に見えなくなることがある。一方、自分との距離をあけて「遠目」で見てみると、「近目」では気づかなかった全体のバランスがわかったり、まわりとの比較ができたりと、自分を客観的に見ることができるのです。

若いうちは、両親や先生、先輩、友人など、身近な人が「メンター(指導者、助言者)」として見た目や仕事、人生の指導や助言をしてくれる場合が多いでしょう。でも、年齢を重ねるほどに、叱られることが少なくなるし、そんなふうにしてくれる立場の人も残念ながら次第に減っていくのが現実。だから、自分が自分のメンターになる。ここで言う俯瞰力とは、そういう意味なんです。

そして、言い換えれば、俯瞰力は「気づく力」そのものだと思います。

実は、気づくって、とても「酷」なこと。「私はどうしてあのとき、あの道を選ばなかったんだろう」と後悔の念に苛まれることもあるし、「私は間違っていたかもしれない」と恥ずかしくて顔から火が出そうになることもある。「もっと若いときに、もっと早い段階で気づいていたら」と自分を責めてしまったり。

でも、一方でこうも思います。誰もが若いうちに気づいて正しい選択ができるなら、そんなに素晴らしいことはないけれど、それでは、人の痛みや人生の機微は理解できないんじゃないかって。その年齢になって初めてわかることもある。その年齢にならないと見えないものもある。後悔も反省も含めて、人間として、女性としての深みは、小さな気づきと、もっと先の自分を目指すための心がけや努力がつくるんじゃないかって。美しさはあくまで、その結果なのだと。

私自身、この年齢になって、ようやく自信を持ってそう思えるようになりました。この自信は、過去のひとつひとつの経験の積み重ね。ポジティブなこともネガティブなことも含めて、すべてが私に必要な経験だったと確信しています。

「俯瞰力」で自分も人間関係も楽になるヒント

たとえば、人間関係を楽にする方法のひとつとして、女性をスイーツにたとえると、人間関係がスムーズになります。

私は、身近にいる仲のいい友人からたまたますれ違った見知らぬ人まで、女性たちを「スイーツ」にたとえる「秘かな楽しみ」があります。これは、単なる「占い」のようなものではなく、いわば、人間観察。ファッションやヘアスタイル、表情や仕草……女性を観察するうちに、誰もがスイーツにたとえることができると気がつきました。

この方法、実は人間関係を円滑にします。それは、苦手な女性でも、おいしそうなスイーツにたとえることによって、ネガティブな印象が薄れるから。その人が持つ可愛らしさに気づくことができ、魅力を発見することにつながるから。そして、女性たちは誰もが美しいと確信できるから。すると不思議なもので、相手に対して苦手なところが薄らいで、自分自身も楽になれるんです。

ちょっとした遊び心で続けていたら、魅力の発見を超えて、こうしたらもっと綺麗になれるのに、と考えたり、逆に教えられて自分磨きにつながったり……と、メリットがたくさんあることに気づきました。

【人間関係もラクになるスイーツタイプ別メイクアドバイス】

鈴木さんオリジナルのチェックテストで、どんな人でも必ずかわいいポイントが見つかります。タイプ別メイクポイントも紹介するので、さらに魅力がアップするヒントにも! 質問に一番近いものを選んで、A、B、Cの数を数えてください。

チェックテスト

Q1:あなたの顔形で近いものは?

A.逆三角形、ベース形、または四角顔

B.丸顔

C.面長

Q2:今までの髪の長さで多かったのは?

A.ショート

B.セミロング以上

C.ミディアム

Q3:良く着る洋服の色は?

A.白や黒などはっきりした色にヴィヴィッドなさし色

B.ベージュや淡めの色

C.黒や紺、グレー

Q4:よくつけるアクセサリーは?

A.細めのネックレスやブレスレット

B.華やかなネックレスやイヤリング、ピアス

C.パールなど定番の清楚なもの

Q5:長い休暇がとれたら行きたいところは?

A.おいしいものがあるところで食べ歩き

B.ヨーロッパなど海外の都市

C.海辺のリゾートでのんびり

Q6:インテリアのテイストで好きなのは?

A.北欧風のシンプルなインテリア

B.ミッドセンチュリーの要素のある部屋

C.イギリスのアンティークなどクラシック調

Q7:よく読む本は?

A.ビジネス書や自己啓発本

B.エッセイや美容本

C.小説や絵本や写真集

Q8:あなたの体のラインはどれに近い?

A.骨っぽく筋肉もついている

B.ほっそりめで華奢

C.丸みがあって女性らしい

Q9:次のスポーツのうち、自分がするとしたら?

A.ジョギング、水泳、乗馬

B.テニス、ゴルフ、スキー

C.ヨガ、バレーボール

Q10:次のスポーツのうち、見るのはどれが好き?

A.フィギュアスケート、駅伝

B.野球、サッカー

C.テニス、ゴルフ

結果

★Aが一番多い人

おすすめメイクポイント

シャープな印象のタルトタイプは、口元がポイント。マニッシュな雰囲気もあり、それが口紅をきちんと塗るとほどよく引き立ちます。マットな質感を選ぶとよりかっこいい感じに。眉やアイラインもくっきりと描きましょう。ただしチークは控えめに。

★Bが一番多い人

おすすめメイクポイント

ラブリーな雰囲気のエクレアタイプは、チークが重要。しっかりつけましょう。目元のメイクもややしっかりめに。流行のシャドウや、パールやラメで目元を華やかに。その分唇はベージュのグロスで色はおさえて、艶感を。

★Cが一番多い人

おすすめメイクポイント

エレガントなムードのスポンジタイプは、肌を美しく見せるのがコツ。ファンデーション選びにこだわってみて。パーツはアイメイク、チーク、唇と全体的にバランスのいい力加減で。寂しくなりがちなので、唇かチーク、どちらかに華やかな色を。

★一番多い数が2つになった人

両方の要素があると思うので、両方のメイクポイントを読んで、やってみたいところを取り入れてみて。

小さな心がけを丁寧に積み重ねれば、生きるのが楽になる!

私が尊敬し、憧れている年上の美しい女性に共通しているのは、「継続」です。決して大げさなことじゃない。いわば当たり前のことを、日々きちんと続けているのです。彼女たちの存在に励まされ、その美しさを目標に、私も小さな気づきと小さな心がけを積み重ねていきたいと思っています。

『大人は「近目美人」より「遠目美人」』書影
著:鈴木ハル子

長年広報のトップとして働いてきた化粧品会社を定年退職したばかりの60歳の著者。60歳には見えない若々しさと、周囲から慕われる生き方の美しさの秘密がわかる、いつまでもきれいでいたい女性への指南書となる1冊です。 年齢を重ねると、いつまでもきれいでステキでいたいけれど、若い頃と同じような立ち居振る舞いや美容法では、何かが違ってきます。大人のステキとは、キレイとは、どういうことなのか、何を目指すべきなのか、著者の生き方には参考になることがたくさん。生き方が丸ごと出てしまう年齢だからこそ、気をつけなくてはいけないこと、品性の磨き方など、すぐにでも真似したいことが満載。読んでいるうちに背筋がスッとのびるような内容です。 また、それはいつまでも頑張り続けなくてはいけないということではなく、実は自分を少し高めることによって「自分を楽にする」ことにもつながると著者は言います。少しがんばって、最終的に自分を楽にする、いい感じで抜け感のある生き方へのステップの提案となっています。 エレガントでありながら逞しい、女性らしいパワーをもらえる、心に響く言葉集でもあります。

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