今日のおすすめ
ファンの想像を超える新たな地平を切り開く、話題の新人作家4人をご紹介します。
2024江戸川乱歩賞受賞作
乱歩賞70年目の大収穫
ダブル受賞となった2024年の江戸川乱歩賞。そのうちの一作、『フェイク・マッスル』が書籍として、世に出ました。
選考会で圧倒的な支持を集めたのは、人が死なないミステリであるのに、魅力的な謎でぐいぐい読ませる正統なミステリの筆さばきでした。作中、真面目を絵にかいたような週刊誌記者の松村健太郎は、「ボディビル大会で突然入賞したアイドルが、実はドーピングをしていたのではないか」という疑惑を探るよう命じられます。どうすれば真偽を見極めることができるのか? 松村はある大胆な手法で、相手をドーピング検査にかけることを思いつくのですが──。二転三転、想像もできない結末にきっと誰もが驚くはずです。お楽しみに。
──文芸第二単行本編集チーム 大曽根幸太
2024群像新人文学賞受賞作
21歳の巨大な才能が誕生!
今年の群像新人文学賞を受賞した『月ぬ走いや、馬ぬ走い』は、21歳の現役大学生・豊永浩平さんが、戦争末期から現在まで約80年にわたる沖縄の歴史を、全14章で描いた壮大な作品です。章ごとに変わる語り手は、戦時中の日本兵から現代の沖縄に暮らす中高生まで、年齢も性別もさまざま。それぞれの語り手に合わせて変化する文体と緻密な構成力で、「その語りの力に圧倒された」(町田康さん)、「Z 世代のパワフルな語部の登場を歓迎する」(島田雅彦さん)と、選考委員に高く評価されました。那覇の書店では本書が山積みされ、琉球放送や新聞各紙で紹介されるなど、大きな注目を集めています。
これからの時代をひらく巨大な才能に、ぜひご注目ください。
──文芸第一単行本編集チーム 見田葉子
2024小説現代長編新人賞受賞作
声で闘う新忍者(ニューヒーロー)、見参!
忍者=音もなく敵を葬る、冷酷無慈悲な影の者? そんなイメージを覆す「超・お喋りな忍者」が誕生しました。
南部藩に仕える望月景信は、どんな声も自在に真似る凄腕の“声色遣い”。ある時は敵のくノ一に扮して情報を聞き出し、ある時は敵軍リーダーの声で軍勢を鎮圧します。隣国・伊達藩の動向を探る任務の中、弾圧されるキリシタンの実状を目の当たりにした景信は「信じるとは何か」「この国とは何か」を己に問うことに。そして背後で暗躍する謎の新興宗教“大眼宗”の秘密に迫っていくのでした。
人情家で惚れっぽく、ちょっとドジだが優しい忍者。時代を変えるニューヒーローの活躍、千変万化する声を想像しながらお楽しみください。
──小説現代編集チーム 川原 桜
2023小説現代長編新人賞受賞第1作
令和イチかわいい猫小説はコレだ!
猫がごろごろのどを鳴らすとき、何をしているか皆さんはご存じですか? 実は、他の猫とテレパシーで交信している真っ最中なのです。本作は、別々の家で暮らす猫四姉妹がそれぞれの家で起きる事件を、テレパシーで共有しながら猫ならではの方法で解決していく、猫視点ハートフルドラマです。
水庭さんはまだ2作目ながら、デビュー時から評価されている安定感のある筆力を見せています。猫視点で進む本作は、まるで水庭さんが猫になってしまったかのような錯覚すらおぼえます(実際に水庭さんは飼い猫としばらく同じ目線の高さで会話していたそうです)。
「世界猫の日」8月8日に発売のかわいさ2222% の猫小説を、ぜひご堪能ください!
──小説現代編集チーム 伊藤蓮矢
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