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『ツレうつ』の細川貂々さんによる生き方の指南書。子どものときに知っておけば安心。

みらいってなんだろう
(作・絵:細川 貂々)
2023.12.02
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「未来」という言葉にどんなイメージを持っているでしょうか。「希望」のような明るいイメージもあれば、「不安」といったネガティブな一面を思い描く人もいるでしょう。両極端な要素を持つ「未来」とは一体何か? そんなシンプルだけど答えに詰まる疑問を、優しい物語で紐解いてくれる絵本『みらいってなんだろう』が2023年11月6日に発売されました。
物語を描くのは、『ツレがうつになりまして。』の著者・細川貂々(ほそかわてんてん)さん。前作『こころってなんだろう』に続く「なんだろうシリーズ」第2弾として刊行されました。

「みらい」とは取捨選択の繰り返し

物語は小学生のちぃちゃんのため息から始まります。ちぃちゃんは明日の遠足のことを考えると心配でたまりません。なぜならばバスに酔わないかな、森を最後まで歩き切れるかなと、明日という「みらい」に不安を感じているからでした。



私たちはその不安を、どうしたらうまくいくか?と考え、選択しながら日々を過ごしており、それこそが「みらい」だと教えてくれます。



そして、その選択肢は私たち自身の「かこ」という「きおくのひきだし」から出来ています。つまり「きおくのひきだし」から「みらい」を選んで私たちは生きているのです。

心を軽くしてくれる「生き方の指南書」

生きていくということは未来に進んでいくことであり、本書は言い換えれば「生き方の指南書」として読み進められます。
その中で細川貂々さんが声を大にして伝えてくれていることは、
・一人で抱え込まず周りを頼る
・過去を後悔する必要はない
ではないでしょうか。

「ひきだし」が少なくて選べないなら、周りの人たちの「ひきだし」を借りればいい。そして「ひきだし」は増え続けるものだから、今の自分とあの時の自分は比べられないのです。
大切なことは、そうやって私たちは「自分で」選んで一歩ずつ進んでいるということです。

人と話すことは相手に「ひきだし」を増やすこと

そして本書の後半でちぃちゃんが遠足の様子を両親に話すシーンがあります。話を聞くことで両親は自分たちの「ちぃちゃんのひきだし」を増やすことができるのです。

親子の会話は大切とよく言われますが、なぜ大切なのかが一目でわかる印象的なシーンでした。そして親子だけでなく、友人やパートナーとの良好な関係を築く際にも会話は大切ですよね。自分を知ってくれている人がいるということは、ひいては自分を守ることに繋がるのだなと考えさせられました。

本書を読んで腑(ふ)に落ちることが多いのは、私が「ひきだし」を増やしてきた大人だからであって、今だからわかるのだと思います。子どものときから知っていたらそれこそ「ひきだし」として、その時々で違う考え方を持てたかもしれません。もちろん、もしもをここで語ることはナンセンスですが、これからを生きる子どもたちの「ひきだし」になって欲しい一冊であることは間違いないです。

  • 電子あり
『みらいってなんだろう』書影
作・絵:細川 貂々

映画化もされた『ツレがうつになりまして。』や水島広子医師との共著「それでいい。」シリーズなど心をテーマに数多くのベストセラーを描いた、細川貂々氏による、『こころってなんだろう』続編。

大人なんて子供の延長でしかないのです。だから子どものときに「こころ」や「みらい」、他にも「おかね」や「しごと」など、生きていく上で大切なことの仕組みや意味を知っておくと、大人になってももうすでに知っているから生きやすくなると思うんです。

レビュアー

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Micha

ライター。フリーランスで働く1児の母。特にマンガに関する記事を多く執筆。Instagramでは見やすさにこだわった画像でマンガを紹介。普段マンガを読まない人にも「コレ気になる!」を届けていきます!
Twitter:@Micha_manga 
Instagram:@manga_sommelier 

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