『Ultra Battle Satellite』の打見佑祐、ヤンマガに降臨
目指すのは「最強」じゃない! ラスボスは大会主催者
そんな彼の実力に目を付けたのが、自身も表の世界で伝説の格闘家として名を馳せ、今は大富豪として成功した神原尊(かんばらたける)。彼が主催する裏格闘技「ヤオヨロズ」は、掛け金青天井、ルール無用のストリートファイト興行で、世界に向けて配信中。視聴者たちは次々と大金をつぎ込んでいます。
身寄りもなくその日暮らしの貧しい少年が、おのれの格闘家としての才覚を武器に裏社会の格闘バトルでのし上がり、頂点に立つ成功物語……と思いきや、どうやら本作の展開は異なる様子。
カギを握るのは、先ほど触れた「媚びない、阿らない」というジンの生き方です。それは、「ゴールデンルーキー」としてスカウトされたジンが、神原の自宅に招かれた際の描写にも出ています。
神原に対して媚びへつらう取り巻きにうんざりしながら、最終的にジンは「神原との試合を組む」ことを条件に、スカウトを受けると回答。なぜ自分と戦いたいのか、その理由を問うた神原に対してジンが放った言葉が、痛快です。
そう、ジンが目指すのは「裏格闘技界の最強」じゃない。金と権力にまみれたくだらない王国「ヤオヨロズ」に君臨する王・神原を、その王国ごとぶっ壊すことなのです。
『UBS』との共通項も!?
また、主人公の名前以外にも両作品にはいくつか共通点があります。
・ストリートバトル×配信×賞金という、アンダーグラウンド感バリバリの設定
・主人公はプロの格闘家ではない
・「青木松学院」の存在(『UBS』連載前の読み切り作『あばれ猿』に登場。本作の主人公・祭矢ジンは同校を中途退学)
もちろん『UBS』を知らずとも楽しめる本作ですが、『UBS』ファンであれば、同作と近い世界観も含めて必読の作品と言えそうです。
独特のタッチで描く、躍動感たっぷりな格闘シーン
打見佑祐ならではの躍動する肉体と流れるような技の応酬の描写は、読んでいて爽快感すら覚えます。
1巻序盤では、雑魚キャラを相手にその格闘センスで圧倒するジン。物語が進むにつれ、強敵キャラも登場することでしょう。手ごわい相手にどう立ち向かっていくのか、そしてどんな格闘シーンが描かれるのか。これからの展開が楽しみなオープニングとなる1巻。
用意された器の中で頂点を目指すのではなく、器そのものを破壊し、その歪な価値観をひっくり返す。放浪児という今の状況を底辺とも思わず当たり前のように生きるたくましさ。そして自分の人生は自分で切り開く、そんなジンの溢れる生命力と、媚びない、阿らない生き方に、どうしようもなく惹かれてしまうのです。








