きっかけは毎日新聞の記事。開成中学で2011~12年に行われた、ネットの誹謗中傷を考える授業のレポートでした。日本一頭がいいと思われる中学生たちが、ネット社会の大問題といかに向きあったのかと興味がわきました。記事を執筆した宇多川はるか記者に連絡を取ると、同様の授業が’21年に再度行われるとのこと。本書では、その全6回にわたる授業を完全再現しました。
担当の神田邦彦教諭からの問いかけに、生徒たちは思考をめぐらせ、自分なりの言葉で応えていきます。なかには、読む側がハッとさせられる鋭い発言も。授業後に生徒たちが書いた考察も掲載していますが、この考察がまた、生徒たちの思考の深さを感じさせます。
最終章では、ネット中傷で自ら命を絶った木村花さんの母・響子さんが千葉県の小学校で行った授業のようすも収録。ネットの誹謗中傷はなぜ起こり、どうすればなくせるか? あらためて考えさせられる1冊です。
──児童図書編集チーム 中田雄一
レビュアー
児童図書編集チーム